eスポーツシーンにおいて、ゲーミングマウスの「軽量化」はとどまるところを知りません。
各社が50g台、40g台としのぎを削る中、Pulsarから常識を覆すような製品が登場しました。
それがPulsar 「X2H CrazyLight」です。
その重量、わずか公称値37g。
従来モデルでも十分軽量だったX2シリーズから、さらに限界まで肉をそぎ落とした「CrazyLight」の名は伊達ではありません。
しかし、本製品の魅力は軽さだけにとどまりません。
最大8000Hzのポーリングレートに対応するドングルが標準で付属し、最新のフラッグシップセンサーを搭載。
まさに「最軽量」と「最高性能」を両立させたハイエンドモデルです。
この記事では、Pulsar 「X2H CrazyLight」を実際に使用した筆者が、その特異な形状、性能、そして軽量化の代償として何をトレードオフにしたのかまで、詳しく深掘りしていきます。
Pulsar 「X2H CrazyLight」の製品概要

まずは本製品のスペックと、設計思想を解剖します。
驚異の37g!スペックと軽量化の秘密
Pulsar 「X2H CrazyLight」の主な仕様は以下の通りです。
| 項目 | スペック | 補足・解説 |
|---|---|---|
| 重量 | 約37g (±1g) | 本製品最大のアイデンティティ。 |
| サイズ | 115.6mm (全長) x 62.7mm (幅) x 38.5mm (高さ) | X2H Miniと同一の金型(サイズ)。 |
| センサー | PixArt PAW3395 (Pulsar改良版) | 現行フラッグシップセンサー。 |
| MCU | Nordic nRF52840 | 高性能MCU。 |
| メインスイッチ | Pulsar Optical Switches (光学式) | 高耐久・高速応答スイッチ。 |
| ポーリングレート | 最大 8000Hz (付属ドングル使用時) | 8K対応ドングルが「標準付属」。 |
| 接続 | 2.4Ghz ワイヤレス / USB-C 有線 | 付属ケーブルは柔軟なパラコードタイプ。 |
| バッテリー | 小型バッテリー搭載 | 軽量化のための明確なトレードオフ。 |
この37gという重量は、主に2つのアプローチで実現されています。
- 戦略的な底面(ボトムシェル)の肉抜き
- Pulsarの哲学は「プレイヤーが触れる部分に妥協しない」こと。上面や側面には一切穴がなく、グリップ感や汚れの問題を排除しています。
- その代わり、通常は見えない「底面」の樹脂を、強度を保てる極限まで大胆にカット。内部のリブ(補強)構造の最適化で、軽さと剛性を両立しています。
- バッテリー容量という「聖域」へのメス
- ワイヤレスマウスの重量の多くを占めるバッテリーに対し、Pulsarは「CrazyLight」の名の下、常識を捨てました。
- 標準モデルに比べ明らかに小型のバッテリー(200mAh)を搭載。これは「軽さこそが正義」というプレイヤー以外には受け入れがたい明確なトレードオフです。
まさに「軽さ」という一点突破のために、合理的かつ大胆な取捨選択を行った設計思想が見て取れます。
8Kドングル標準付属と同梱物一覧
本製品が「ハイエンド」である証左が、この同梱物です。
▼ 主な同梱物
- X2H CrazyLight マウス本体
- 4K/8K ポーリングレート対応レシーバー(ドングル)
- USB-C パラコードケーブル(約1.8m、非常に柔らかい)
- USB-A to C 変換アダプタ(ドングル延長用)
- Pulsarオリジナルステッカー
- 説明書、保証書
- 交換用マウスソール (PTFE) ×1セット
- 特殊マウスソール (UHMW-PE) ×1セット
- Pulsarロゴ入りクリーニングクロス
特筆すべきは、やはり「8K対応ドングル」の標準付属。
他社では別売り(相場4,000円〜5,000円)が多いため、価格競争力においても非常に大きなアドバンテージです。
【技術解説】8Kポーリングレートとは?
ポーリングレートとは、マウスがPCに情報を送信する頻度です。
- 従来の標準:1000Hz → 1ミリ秒 (ms) ごとに情報を送信。
- 8K対応:8000Hz → 0.125ミリ秒 (ms) ごとに情報を送信。
理論上、8Kは1Kに比べ最大8倍滑らかで、遅延も少ないことになります。
240Hz以上の超高リフレッシュレートモニター環境下では、カーソルの動きがモニターの描画により忠実(滑らか)になるメリットがあります。
ただし、PCのCPUにも相応の負荷をかけるため、環境を選ぶ機能でもあります。
ガラスパッド専用?特殊マウスソールに注意
同梱されているマウスソールは2種類あり、注意が必要です。
- PTFEソール(白色)
- 素材:PTFE (テフロン) 100%
- 特徴:標準で本体に貼られている万能タイプ。摩擦係数が低く、滑らかな滑走感が特徴で、あらゆるマウスパッドに対応します。
- 特殊ソール(黒色・円柱状)
- 素材:UHMW-PE (超高分子量ポリエチレン) と推測
- 特徴:エッジ(角)が全くない丸みを帯びた形状。
- 【重要】使用上の注意:この黒いソールは、その平滑すぎる形状ゆえに、布製マウスパッドで使用すると繊維に沈み込み、予期せぬ引っかかりや抵抗感を生む可能性があります。
- このソールの真価は、「ガラス製マウスパッド」のような完全にフラットで硬質な表面で発揮されます。ガラスパッド上で使用すると、PTFEとは異なる独特の低摩擦とコントロール性を両立したフィーリングが得られました。
布製マウスパッドをメインで使用している大多数のユーザーは、無理に黒いソールを使わず、標準のPTFEソール(白色)をそのまま使用することを強く推奨します。
Pulsar 「X2H CrazyLight」特有の形状と持ち方の相性

本製品の真の核心は、その独特な「形状」にあります。
軽さは性能の一部ですが、形状はプレイヤーとの「相性」そのものです。
X2シリーズとの決定的な違い「コブ」の高さ
PulsarのX2シリーズは、形状によって明確にカテゴライズされています。
- X2:全体的にフラット(平たい)。マウス後部のコブが低く、背中が平らな「箱型」に近い形状。
- X2H (本製品):製品名の「H」が示す通り、「High Hump(高いコブ)」を持つ形状。マウス後部が大きく盛り上がり、その頂点(ピーク)がかなり後ろ寄りにあります。
さらに、「X2H」はセンサー付近(中央部)のくびれが「X2」よりも強く、親指と薬指・小指でマウスを掴んだ際の「指がかり」が非常に良くなっています。
本製品「X2H CrazyLight」は、X2H Miniと全く同じ金型(形状・サイズ)を採用。
手が小さめ〜標準サイズ(目安:手長17cm〜19cm)で、かつ「ハイハンプ形状」を好む層に突き刺さる設計です。
つかみ持ち・つまみ持ちへの最適化
この「後部ハイハンプ形状」と「強いくびれ」の組み合わせは、特定の持ち方に最適化されています。
◎ 非常に相性が良い:つかみ持ち
「つかみ持ち」とは、手のひらの付け根をマウスの後部に当てて固定し、指先を立てて操作するスタイルです。
「X2H」の高いコブは、この「手のひらの付け根」に完璧にフィット。
まるで専用設計されたかのようにコブが手のひらに吸い付き、強力な安定感を生み出します。
この安定感があるからこそ、37gという軽さでもエイムが不安定にならず、指先の微細なコントロールが驚くほど容易になります。
○ 相性が良い:つまみ持ち
「つまみ持ち」とは、手のひらを一切接地させず、指先だけで操作するスタイルです。
つまみ持ちにとって「軽さ」と「指がかり」は最重要。
「X2H CrazyLight」は37gという圧倒的な軽さを誇り、側面の強いくびれが指先でのホールドを容易にします。
軽さで操作をアシストしてくれるため、つまみ持ちユーザーにも非常に有力な選択肢です。
かぶせ持ちユーザーが注意すべき点
× 絶望的に相性が悪い:かぶせ持ち
一方で、「かぶせ持ち」のユーザーは、絶対にこのマウスを選ぶべきではありません。
「かぶせ持ち」とは、手のひら全体をマウスの背中にべったりと覆いかぶせるスタイルです。
「X2H」は、かぶせ持ちをしようとすると、高すぎる後部のコブが手のひらを強く押し上げ、指先がボタンから浮いてしまいます。
また、手のひらとマウスの間に不自然な隙間ができ、安定感が著しく損なわれます。
筆者が無理やりかぶせ持ちでプレイしましたが、エイムが全く安定せず、短時間で手首が疲れました。
深く握り込みたい「かぶせ持ち」ユーザーは、本製品ではなく、フラットな「X2V2」や、他社のエルゴノミクス形状のマウスを検討するべきです。
実用性を左右するPulsar 「X2H CrazyLight」の性能とビルドクオリティ

37gという軽さを実現するために、Pulsarは剛性やスイッチの品質を犠牲にしたのでしょうか?
答えは明確に「No」です。
光学式スイッチとホイールの操作感
ゲームの勝敗に直結するクリックとホイールの作り込みは、まさにハイエンドです。
- メインクリック(Pulsar Optical Switches)
- 物理的な接点を持たない光学式スイッチを採用。
これにより、原理的にチャタリング(二重入力)が発生せず、デバウンスタイムを0msに設定できるため超高速な応答が可能です。 - フィーリングは「パチッ、パチッ」と非常に歯切れが良く、かつ明瞭。
Razerの光学スイッチに似ていますが、Pulsarの方がわずかに甲高く、反発力が強い印象です。
プリトラベル(遊び)もポストトラベル(底突き)も最小限で、連打(タップ撃ち)が非常に快適です。
- 物理的な接点を持たない光学式スイッチを採用。
- サイドボタン
- 形状は細めですが、適切に突出しており親指でのアクセスは良好。
- クリック感は「コトッ」というやや柔らかめのメカニカルスイッチの感触。
ただし、後ろ側のボタンが少し深く沈み込む(埋まる)ような感触があり、この点は唯一のウィークポイントかもしれません。
- ホイール
- エンコーダーにはTTC Goldが採用されていると推測されます。ノッチ感(コリコリ感)は適度に明瞭です。
- 従来のX2モデルであった「ゴリゴリ」という大きな回転音は完全に解消され、非常に静かでスムーズな回転を実現しています。
- ホイールクリック(中央クリック)はやや軽めの設定で、押しやすさという点で優秀です。
穴あきボトムでも高剛性な設計技術
37gという軽さと底面の肉抜き構造から来る「耐久性」の不安。
「強く握ったら軋むのではないか?」
結論から言えば、その心配は一切無用です。
Pulsarの設計技術は非常に高く、マウスの側面を力いっぱい握り込んでも、ミシミシという音や、筐体がたわむ感覚は一切ありません。トップシェルも同様に強固です。
これは、底面プレートの樹脂をただ薄くするのではなく、必要な部分の厚みを確保し、内部に計算されたリブ(補強の梁)を配置することで、全体の強度を高めているためです。
Pulsarは「樹脂設計の最適化」というエンジニアリングの力で、軽量化と高剛性という二律背反を達成しています。
Webドライバーと新機能「2万FPSモード」
Pulsarは、PCに常駐する重いソフトウェアを必要とせず、設定はすべてWebブラウザ上で完結する「Webドライバー」で行います。
▼ 主な設定項目
- ボタン割り当て: 全ボタンにキーやマクロを割り当て可能。日本語対応で直感的です。
- DPI設定: 50〜26,000DPIの範囲で、50刻みで設定可能。
- ポーリングレート: 125Hz 〜 8000Hz(8K)から選択。
- デバウンスタイム: 0ms〜30ms。光学式スイッチの恩恵により、最短の0msに設定してもチャタリングの心配はありません。
- モーションシンク: センサーとPCの送信タイミングを同期させ、軌跡を滑らかにする機能。好みでオン/オフを選択。
- 省電力モード: バッテリー残量低下時に自動で1000Hzに落とす機能。競技志向のプレイヤーは0%(オフ)推奨。
【禁断の機能】2万FPSモード(ターボモード)
最新ファームウェアで追加された実験的な機能で、センサーの「スキャンレート(FPS)」を毎秒20,000回まで引き上げます。
- メリット: 理論上、応答速度がさらに向上します。
- デメリット: バッテリー消費が破滅的に増加します。Pulsarも「非推奨」としており、常用は現実的ではありません。
Pulsar 「X2H CrazyLight」を使用した私の体験談・レビュー

ここからは、筆者が「X2H CrazyLight」を数週間、FPSゲーム(VALORANT, Apex Legends)や日常作業で使用した具体的なインプレッションをお届けします。
37gがもたらすエイム初動の圧倒的な速さ
最初に感じたのは、やはり「初動の速さ」です。
これまで50g〜60g台のマウスを使用してきましたが、37gの世界は別次元でした。
マウスを動かし始める際の「慣性」が、ほぼゼロに感じられます。
VALORANTで、急に現れた敵にフリックエイムする際、これまでは「動かすぞ」という意識が先行していました。
しかし「X2H CrazyLight」では、「敵だ」と思った瞬間には、もうエイムが合っている、という感覚に陥ります。
思考と指先の動きが完全にシンクロする体験です。
また、Apex Legendsでの近距離トラッキングエイムにおいても、左右の切り返しが驚くほどスムーズになりました。
重いマウスで発生しがちな「エイムの行き過ぎ(オーバーエイム)」が減り、敵に吸い付くようなトラッキングが可能です。
手のひらに吸い付く「X2H」形状のフィット感
この37gの恩恵を最大限に引き出しているのが、間違いなく「X2H形状」です。
もしこれがフラットなX2形状だったら、軽すぎて逆にエイムが不安定になっていたかもしれません。
しかし、「X2H」は後部の高いコブが、私の手のひらの付け根(母指球の下あたり)に「カチッ」と音を立てるかのようにハマります。
この一点でマウスが強力に固定されるため、指先(特に親指と小指)はリラックスしたまま、微細なコントロールに集中できます。
長時間のプレイ(例えば4時間ぶっ通し)でも、手首や前腕の疲労感が明らかに軽減されました。
これは、重いマウスを支えるために無意識に入っていた力が不要になったためでしょう。
8Kポーリングレートと高リフレッシュレートモニターでの恩恵
筆者の環境は240Hzモニターです。この環境で、1000Hz、4000Hz、8000Hzを切り替えてテストしました。
- 1000Hz vs 4000Hz: 違いは明確に体感できました。
4000Hzの方が、マウスカーソルの動きが明らかに滑らかで、画面の描画に「吸い付く」ような感覚があります。 - 4000Hz vs 8000Hz: 正直に言って、明確な違いを体感するのは困難でした。
思い込みと言われれば否定できないレベルの差です。
ただし、これは240Hzモニターでの話です。
今後普及が進むであろう360Hzや540Hzといった超高リフレッシュレート環境では、この8Kポーリングレートの恩恵がより明確に現れる可能性は高いです。
CPU負荷については、Core i7-13700K環境下では問題ありませんでした。
軽量化の代償:バッテリー持ちに関する現実
さて、本製品最大のトレードオフ、「バッテリー持続時間」です。 これは覚悟していましたが、想像以上でした。
▼ 筆者の実測バッテリー持続時間(参考値)
- 1000Hzで使用 (ゲーム+作業):約3〜4日。これでも一般的な軽量マウスと比べると非常に短いです。
- 4000Hzで使用 (ゲームメイン):約1日半〜2日。毎日3〜4時間ゲームをすると、2日に1回は充電が必要になります。
- 8000Hzで使用 (ゲームメイン):ほぼ毎日充電が必要。1日のプレイ時間が長い(6時間以上)と、その日のうちに切れる可能性すらあります。
これは明確なデメリットです。
Logicool製品のように「充電したことを忘れる」ような運用は不可能です。
「ゲームを終えたら、スマホと一緒にマウスも充電する」という習慣を組み込む必要があります。
この「充電の煩わしさ」を受け入れられない限り、このマウスの真の性能(4K/8Kモード)を引き出すことはできません。
サイドボタンのクリック感で気になった点
全体的なビルドクオリティは満点に近いのですが、唯一気になったのがサイドボタン(特に後ろ側)の感触です。
メインクリックが「パチッ」というデジタルな感触なのに対し、サイドボタンは「グニッ」と少し深く沈み込むような、やや曖昧な感触です。
ゲームプレイ中に押し間違えるほどではありませんが、メインクリックの完成度が高すぎるだけに、この差が余計に目立ってしまった、という印象です。
体験談の総括
「X2H CrazyLight」は、私のプレイスタイル(つかみ持ち)とニーズ(軽さとフィット感)に対し、95点の答えを提示してくれました。
バッテリー持ちという明確な「マイナス10点」は存在するものの、それを補って余りある「プラス15点」が、「37gの軽さ」と「X2H形状の完璧なフィット感」からもたらされました。
操作性の向上は、思い込みではなく、VALORANTでのヘッドショット率やApexでの平均ダメージといった数値にも(わずかですが)良い影響として現れました。
筆者は、この「毎日充電する」という手間を受け入れ、このマウスをメインとして使い続けることを決めました。
Pulsar 「X2H CrazyLight」に関するよくある質問(Q&A)

Pulsar 「X2H CrazyLight」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「X2H Mini」と形状やサイズは完全に同じですか?
はい、全く同じです。 「X2H CrazyLight」は、「X2H Mini」と同一の金型を使用しています。そのため、サイズ(長さ115.6mm x 幅62.7mm x 高さ38.5mm)や握り心地は変わりません。「X2H Mini」の形状が気に入っている方であれば、違和感なく、純粋な「軽さ」の恩恵だけを受けることができます。
4K/8Kポーリングレートで使用した場合、バッテリーは実質どのくらい持ちますか?
ヘビーゲーマーなら「1日〜1.5日」と考えてください。 例えば、仕事や学校から帰宅して夜に4〜5時間ゲームをする場合、4K設定なら2日は持つかもしれません。しかし、休日に朝から晩までプレイする場合は、その日の夜には充電が必要になるでしょう。 「ゲームが終わったら必ずケーブルを挿す」というルーティンが必須です。
充電ケーブルを繋いだままでも快適に操作できますか?
はい、比較的快適です。 付属のUSB-Cケーブルは、非常に柔らかく柔軟なパラコードケーブルを採用しています。有線マウスとして使っても、ケーブルの反発や引きずり感をあまり感じないため、万が一充電が切れても、そのまま繋いでプレイを続行することにストレスは少ないです。
底面に穴が空いていますが、ホコリや水が入って壊れませんか?
水濡れには特に注意が必要です。 Pulsarのマウスは内部基板に防塵コーティングが施されている場合が多いですが、完全防水ではありません。特に底面が開放されているため、飲み物をこぼした際のリスクは通常のマウスより高いです。ホコリに関しては、エアダスター等で簡単に吹き飛ばせるため、そこまで神経質になる必要はありません。
付属の黒いソール(特殊ソール)は、布製マウスパッドでは使えませんか?
推奨しません。 黒い円柱状のソールはエッジが丸く処理されており、柔らかい布製マウスパッドだと沈み込んでしまい、引っかかりを感じる原因になります。このソールは、硬度のある「ガラス製マウスパッド」で使用することで真価を発揮するものです。布パッドをお使いの方は、最初から貼られている白いPTFEソールをご使用ください。
MacやPS5でも使用できますか?
基本的な動作は可能ですが、性能をフルに発揮できません。 マウスとしての基本的な移動やクリックは機能しますが、8KポーリングレートやDPIの細かい調整、ボタン割り当ての変更などはWebドライバー(ブラウザ)経由で行う必要があります。特に8K動作はPC環境での使用が前提となるため、このマウスの性能を最大限活かすならWindows PCでの使用を強く推奨します。
Finalmouse UltralightXやG-Wolves Hati-S Plus 4Kなど、他の超軽量マウスとの違いは何ですか?
「穴なしの堅牢性」と「独特の形状」が最大の違いです。 FinalmouseやG-Wolvesがハニカムシェル(穴あき構造)や高価な素材(マグネシウム、カーボン)で軽量化するのに対し、「X2H CrazyLight」は上面・側面に一切穴がないにも関わらず、樹脂設計の最適化だけでこの軽さを実現しています。
- グリップ感: 穴がないため、どこを握っても均一な感触が得られます。
- 剛性: 樹脂製ながら非常に高い剛性を誇り、軋みやたわみがありません。
- 形状: 「X2H」の「つかみ持ち特化」のハイハンプ(高いコブ)形状は非常に独特です。他社製品が左右対称のフラットな形状(例: Finalmouse)が多い中、形状の好みでX2Hが選ばれることは多いです。
最終的には「形状の好み」と「穴あきの許容度」が選択の分かれ目になります。
マウスのコーティング(表面処理)は滑りやすいですか?グリップテープは必要ですか?
標準のマットコーティングはサラサラしており、グリップ力は標準的です。 手が乾燥していると滑りやすく感じるかもしれませんし、逆に手汗をかくと吸い付くように感じることもあります。これは個人の体質(手のコンディション)に大きく左右されます。まずはそのまま使用してみて、もし滑るように感じるのであれば、Pulsar純正のグリップテープや市販の汎用グリップテープを貼ることをお勧めします。特に37gという軽さでは、指先が滑るとエイムが不安定になりがちなので、グリップテープによる固定力向上の恩恵は大きいです。
通常モデルの「X2H Mini」(約49g)と比べて、価格差に見合う価値はありますか?
「軽さへの投資」と「8Kドングル」に価値を見出せるかによります。 「CrazyLight」モデルを選ぶ理由は、主に以下の2点です。
- 約12gの圧倒的な軽量化: 49gでも十分軽いですが、37gは別次元の操作感です。この「12g」の差に、価格差以上の価値を感じるヘビーユーザー(特にローセンシプレイヤー)は多いです。
- 8Kドングルの標準付属: 通常モデルが1Kドングル(4K別売)なのに対し、CrazyLightは最初から8Kドングルが付属します。
もしあなたが「充電は毎日しても良いから、1gでも軽いマウスが欲しい」「240Hz以上のモニターで最高の応答速度を試したい」と考えるなら、「CrazyLight」は価格以上の価値があります。 逆に、「バッテリー持ちの方が重要」「1KHzで十分」と考えるなら、通常モデルの「X2H Mini」の方が実用的でコストパフォーマンスに優れています。
光学式スイッチのクリック感は、メカニカルスイッチと比べてどうですか?
非常に高品質で、違和感はほとんどありません。 かつて光学式スイッチは「感触が鈍い」「フニャフニャする」といった評価もありましたが、Pulsarが採用している最新世代の光学式スイッチは全く別物です。 「パチッ」と歯切れが良く、跳ね返りも強いため、メカニカルスイッチと遜色ない(あるいはそれ以上にシャープな)クリック感が得られます。最大のメリットは、物理接点がないことによる「チャタリング(二重クリック)が原理的に発生しない信頼性」と「高速な応答性」です。クリック感を理由に避ける必要は全くありません。
バッテリーの寿命(劣化)は早いですか?
高ポーリングレートでの運用は、バッテリーの充放電サイクルを早めるため、劣化も早まる可能性があります。 本製品はバッテリー容量が小さいため、4K/8Kモードで毎日使用すると、ほぼ毎日充電することになります。リチウムイオンバッテリーは充放電を繰り返すことで徐々に劣化(最大容量が減る)していきます。 例えば、2日に1回充電するマウスより、毎日充電するマウスの方が、単純計算で2倍早く劣化が進むことになります。1〜2年で買い替えることを前提とした競技用デバイスと割り切るか、バッテリーの消耗を抑えるために普段は1000Hzで運用するといった工夫が必要になるかもしれません。
DPIはソフトウェア(Webドライバー)でしか変更できませんか?
いいえ、マウス本体のボタンでいつでも変更可能です。 マウスの底面には、LEDインジケーターを兼ねた「DPI変更ボタン」が搭載されています。 あらかじめWebドライバーで複数のDPIプロファイル(例: 400, 800, 1600, 3200)を設定しておけば、ゲーム中や作業中でも、この底面ボタンを押すだけで即座にDPIを切り替えることができます。
クリック音は大きいですか? 静かな環境(オフィスや夜間)での使用に向いていますか?
メインクリックは「やや大きめ」で「甲高い音」がします。静音マウスではありません。 本製品は競技用デバイスであり、静音性よりもクリックの歯切れ(クリスピーさ)を重視しています。
- メインクリック: 「パチッ!パチッ!」と非常に明瞭で甲高い音がします。一般的なマウスより音量は大きく感じます。
- サイドボタン: 「コトッ」と比較的静かで鈍い音です。
- ホイール回転: 非常に静かです。スルスルと回り、音はほとんど気になりません。
家族が寝ている深夜や静かなオフィスでの使用には、メインクリック音が響く可能性があり、あまり向いていません。
8KHzポーリングレートのCPU負荷は具体的にどれくらいですか?古いPCでも動きますか?
第8世代Core i5以上のCPUを推奨します。古いCPUでは性能低下(スタッター)のリスクがあります。 8KHz(8000回/秒)のデータ処理は、マウス操作中、CPUに継続的な負荷をかけます。
- 最近のPC(例: Core i5-13400, Ryzen 5 7600以上): 負荷は数%程度であり、全く問題ありません。
- 数世代前のPC(例: Core i7-8700K, Ryzen 5 3600): ゲームにもよりますが、ほとんどの場合問題なく動作します。
- 古いPC(例: Core i5-4690Kなど4コアCPU): ゲームタイトルによっては、CPU使用率が100%に張り付き、ゲーム画面がカクつく(スタッター)原因になる可能性があります。
もし古いPCで8Kモードを試して動作が不安定になる場合は、無理をせず4KHzや2KHzに設定を落として使用することをお勧めします。それでも1KHzよりは遥かに高応答です。
Pulsar 「X2H CrazyLight」レビューのまとめ

最後に、徹底レビューの結論として、Pulsar 「X2H CrazyLight」を総括します。
「X2H CrazyLight」のメリット総括
- 異次元の軽さ(37g):エイム初動が劇的に速くなり、長時間の疲労を最小限に抑える。
- 「つかみ持ち」への完璧なフィット感:後部の高いコブが手のひらを完璧にロックし、絶大な安定感を生む。
- 妥協のないハイスペック:8Kドングルが「標準付属」する高コスパ。高速応答な光学式スイッチ。
- 驚異的なビルドクオリティ:底面肉抜きながら、一切軋みやたわみのない高剛性な設計。
- スマートなソフトウェア:PCに常駐不要で軽量な「Webドライバー」。
「X2H CrazyLight」のデメリット(注意点)
- 致命的なバッテリー持続時間:最大のトレードオフ。4K/8Kモードでは「毎日の充電」を覚悟する必要がある。
- 限定的なサイドボタンの品質:後ろ側のサイドボタンの感触がやや曖昧。
- 使用者を限定する特殊ソール:同梱の黒いソールは、事実上「ガラスパッド専用」。
- 持ち方を厳格に選ぶ形状:「かぶせ持ち」のプレイヤーには絶対に合わない。
「X2H CrazyLight」をおすすめできる人
- 持ち方が「つかみ持ち」であるプレイヤー。(特に手長17cm〜19cmの人)
- 「つまみ持ち」で、とにかく1gでも軽いマウスを求めている人。
- 「軽さこそが正義」と信じ、バッテリーの不便を受け入れられる人。
- エイムの初動の速さ、フリック精度を物理的に向上させたい人。
- 高リフレッシュレートモニター(240Hz以上)の性能を最大限引き出したい人。
「X2H CrazyLight」をおすすめできない人
- 持ち方が「かぶせ持ち」であるプレイヤー。
- マウスを頻繁に充電するのを「面倒」と感じるすべての人。(最大の関門)
- サイドボタンの明瞭なクリック感を最重要視する人。
- バッテリーの消耗が早いため、1つのマウスを何年も使い続けたいと考える人。
「X2」(無印)モデルとの選び分け
もしCrazyLightモデルで迷っているなら、判断基準はただ一つ、「あなたの手のひらがコブを求めるか」です。
- X2H(本製品)を選ぶべき人:
- つかみ持ち。
- 手のひらの付け根でマウスをガッチリ固定したい。
- 背中が盛り上がった形状が好きな人(例:ZOWIE S2系統)。
- X2(無印)を選ぶべき人:
- つまみ持ち、または浅めのつかみ持ち。
- 手のひらをあまり付けず、指先の自由度を最優先したい。
- 平たい形状が好きな人(例:Logicool G Pro X系統)。
Pulsar 「X2H CrazyLight」レビューの最終評価:軽量マウスの新たな到達点
Pulsar 「X2H CrazyLight」は、「バッテリー持続時間」という実用性の根幹を犠牲にして、「軽さ」と「特定の形状へのフィット感」を神の領域まで高めた、極めて先鋭的な製品です。
これは万人受けする製品ではありません。特定の目的(競技で勝つこと)のためにピーキーな性能を与えられたデバイスです。
「毎日の充電」という儀式を受け入れ、このマウスと一体化できたプレイヤー(特につかみ持ち)にとっては、これ以上ない「最終兵器(エンドゲーム)」の一つとなり得ます。
その軽さがもたらすパフォーマンス向上は本物であり、一度この世界を知れば、もう60gのマウスには戻れない「禁断の果実」です。
充電の手間を許容できるか否か。それが、あなたがこのマウスの真価を引き出せるかどうかの、唯一の踏み絵となるでしょう。
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