ゲーミングヘッドセット市場において「音の定位」と「装着感」の両立は長年の課題でした。
そんな中、国内オーディオブランドfinalが手掛けた「VR3000 EX for Gaming」は、オーディオメーカーとしての音づくりのノウハウを活かし、ゲームに特化したサウンドチューニングと高い質感を兼ね備えた注目モデルです。
イヤホンの名機「VR3000 for Gaming」の流れを汲みつつ、ヘッドセット化によってさらなる音場表現の拡張を実現。
特にFPSタイトルで求められる「上下左右の正確な定位感」や「距離感の把握」を重視した設計が特徴です。
加えて、2.4GHzワイヤレスとBluetooth 5.3のデュアル接続に対応し、低遅延と汎用性の両方を追求しています。
筆者はこれまで複数のゲーミングヘッドセットを試してきましたが、final製品に共通する“モニターライクな音の誠実さ”と、“国内メーカーならではの装着性の設計力”が融合したこのモデルには、ひと味違う完成度を感じました。
この記事では、そんな「VR3000 EX for Gaming」を実際に使い込みながら、音質・装着感・機能性の観点から詳しくレビューしていきます。
「純粋に音で戦えるヘッドセット」を求めるプレイヤーにとって、この製品がどのような体験をもたらすのか――
まずは、その特徴から見ていきましょう。
final 「VR3000 EX for Gaming」とは?

日本のオーディオブランド final(ファイナル) が手掛ける「VR3000 EX for Gaming」は、同社の人気ゲーミングイヤホン「VR3000 for Gaming」の設計思想を継承しつつ、ヘッドセットとして進化を遂げた最新モデルです。
「音の定位を極める」というコンセプトを軸に、ワイヤレス専用設計・長時間バッテリー・精密な音響構造を融合させ、まさに“音で勝つ”ためのヘッドセットとして誕生しました。
製品概要と価格
「VR3000 EX for Gaming」 は、FPS・TPSなどの競技性が高いゲームに最適化された設計を持ち、finalらしい正確な音像再現とナチュラルなチューニングが特徴です。
特に音の立体的な位置関係——上下・左右・前後の定位が明確で、敵の動きや環境音の距離感を自然に把握できるのが魅力です。
主な仕様と特徴
- 接続方式:2.4GHzワイヤレス(USB-Aドングル)/Bluetooth 5.3
- 有線接続:非対応(完全ワイヤレス仕様)
- バッテリー駆動時間:最大約55時間
- 重量:約389g
- マイク:跳ね上げ式ブームマイク(上げるとミュート)
- 価格:税込約1万9,800円前後(セール時は1万7,800円程度)
- 発売日:2024年8月末(Amazon先行販売)
ポイントは、長時間駆動と低遅延の両立。
2.4GHz接続では遅延25ms未満と、FPSでの違和感がほとんどないレベルの応答性を実現しています。
パッケージ内容と外観デザイン
開封するとまず驚かされるのが、オーディオブランドfinalらしい上質な質感です。
シンプルながらも高級感を感じさせるデザインで、派手さよりも“静かな存在感”を重視した仕上がりになっています。
パッケージ内容
- ヘッドセット本体
- 2.4GHzワイヤレスドングル(USB-Aタイプ)
- 取扱説明書
※充電ケーブルやUSB-C変換アダプタは付属しません。
最近ではユーザーが自分のケーブルを持っている前提で、コストカットと環境配慮を両立する流れが進んでいます。
外観と素材の特徴
- ハウジング:特殊テクスチャ加工の樹脂素材。光沢を抑えたマット仕上げで高級感を演出。
- ヘッドバンド:メッシュ布素材で通気性と耐久性を両立。
- イヤーパッド:厚みのあるレザー調クッションで、遮音性と装着感を重視。
- フレーム部:金属パーツを採用し、剛性と高級感を確保。
- 可動構造:スイベル機構を備え、頭の形に沿って自然にフィット。
操作ボタン(左側に集中)
- 電源ボタン
- 音量調整ボタン
- 足音モード切替ボタン
- 2.4GHz/Bluetooth切替スイッチ
- ブームマイク(跳ね上げ式・押し込みでミュート)
デザイン全体は無駄を省き、機能と素材の質感で勝負する大人のゲーミングギアといった印象です。
見た目の派手さではなく、プロユースにも耐える「信頼性」を感じさせます。
ワイヤレス専用設計の特徴
「VR3000 EX for Gaming」 の大きな特徴は、完全ワイヤレス構成に特化している点です。
有線端子を排除することで、ケーブルの煩わしさを一切なくし、安定した低遅延通信とロングバッテリーを実現しています。
2つの接続モード
| 接続方式 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 2.4GHzワイヤレス(USBドングル) | 遅延25ms未満。安定性とレスポンスが非常に高い。 | FPS/TPSなど反応速度が重要なタイトル |
| Bluetooth 5.3 | 遅延はややあるが、利便性が高い。 | スマホやタブレットでの動画・音楽鑑賞 |
アプリ連携(スマホ専用)
- iOS/Android対応アプリで設定可能
- イコライザー(EQ)調整で音の細部をカスタマイズ
- 足音モードのオン/オフ切替
- バッテリー残量確認やファームウェア更新にも対応
※現時点ではPC用ソフトウェアは非対応のため、設定はスマホ経由で行う仕様です。
足音モードとは?
- 中域をわずかに持ち上げて足音を自然に強調するモード
- 音全体のバランスを崩さず、耳をすませるように足音を認識できるチューニング
- 効き方は穏やかで、長時間プレイでも聴き疲れしにくい
- より明確な効果を求める場合はEQ設定との併用が推奨
バッテリー性能
- 最大約55時間のロングバッテリー。週末ゲーマーなら1週間以上無充電で使用可能。
- 長駆動の代償として重量はやや重め(約389g)だが、負担を分散する構造で快適性を維持。
final 「VR3000 EX for Gaming」 は、「有線を捨てて性能を磨いた」ワイヤレスヘッドセット。
低遅延・長時間駆動・柔軟な音調整を兼ね備え、国内ブランドらしい音質と設計精度でゲーミング市場に新しい選択肢を提示しています。
final 「VR3000 EX for Gaming」の音質とゲーミング性能

final 「VR3000 EX for Gaming」は、finalらしい“音の正確さ”をベースに、ゲームで必要な情報を聴き分けやすく設計されたヘッドセットです。
派手に演出するタイプではなく、定位感・距離感・明瞭さを重視した「実戦的な音作り」が特徴です。
定位感と空間表現の進化
このヘッドセットの最大の魅力は、音の立体的な定位感です。
前後・左右に加えて上下方向まで明確に分かるため、FPSやTPSのような立体マップでのプレイで大きなアドバンテージを得られます。
主な特長
- 上下の定位が鮮明:上階・下階の敵の動きを正確に把握可能
- 距離感の再現性が高い:足音の大きさや反響から敵との距離を直感的に判断
- 音の分離が良い:リロード音や足音など複数の音が重なっても明瞭に聴き取れる
- 低遅延(25ms未満):2.4GHz接続時は映像とのズレがほぼ皆無
音場は広すぎず、あくまでゲームに集中できる自然なバランス。
“演出としての広がり”よりも“正確な情報伝達”を優先しており、特に競技系タイトルで効果を発揮します。
例えるなら「音で空間を描く地図」のような印象。
どこに誰がいるのか、音の位置関係が自然に頭の中に浮かびます。
足音モードの実力とチューニング
finalが独自に設計した足音モードは、単純に足音だけをブーストする機能ではありません。
全体のバランスを保ちながら、中域をわずかに持ち上げることで足音や環境音を聞き取りやすくするという“自然なアプローチ”です。
足音モードの特徴
- 中域中心の補正で、足音・リロード・環境音がクリアに
- 効果は控えめで自然。長時間プレイでも聴き疲れしにくい
- EQ(イコライザー)との併用でさらに精度アップ可能
実際の使い方としては、まずは足音モードのみをオンにして様子を見て、その後アプリのEQで自分好みに微調整していくのがおすすめです。
EQ微調整の目安
- 2〜4kHz帯:+1〜+2dB(足音を明瞭に)
- 150〜250Hz帯:-1dB(低音のこもりを軽減)
- 6〜8kHz帯:+1dB(リロードや環境音の抜けを向上)
効果は「薄味」ですが、それがfinalらしさ。
誇張しすぎず、聴覚の自然なバランスを崩さないため、長く使うほど快適に感じます。
イコライザー調整と音傾向
「VR3000 EX for Gaming」の音質は、finalらしいフラットで正確なモニター系。
余分な低音を排除しつつ、中高域の明瞭さを保つことで、ゲーム中の小さな音まで正確に再現します。
基本の音傾向
- 低域:控えめでタイト。爆発音も膨らまずスッキリ
- 中域:明瞭で、足音やキャラクターボイスが聴きやすい
- 高域:刺激が少なく、長時間でも疲れにくい
- 全体:ナチュラルかつ正確。音の定位を妨げないバランス設計
接続モード別の印象
| 接続方法 | 特徴 | 向いている用途 |
|---|---|---|
| 2.4GHzワイヤレス | 超低遅延・安定性抜群。音の方向性が非常に明確。 | FPS / eスポーツ / 反応速度が重要なタイトル |
| Bluetooth 5.3 | 若干の遅延あり。動画や音楽再生は快適。 | カジュアルゲーム / 日常利用 |
EQプリセット例(アプリ設定の目安)
| 用途 | 低域 | 中域 | 高域 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 競技FPS | ±0 | +2 | +1 | 足音・銃声の輪郭を明確に |
| RPG・映画鑑賞 | +1 | 0 | -1 | 没入感を優先したナチュラル設定 |
| 長時間作業・配信 | -1 | +1 | 0 | 疲労を抑えて自然な聴き心地 |
Windows設定の注意点
- 「立体音響」や「オーディオの強化」機能はオフ推奨。
→ 二重処理による音像のズレや定位のブレを防げます。
「VR3000 EX for Gaming」の音質は、派手さよりも“精度”と“聴き取りやすさ”を重視しています。
定位感の高さと中域のクリアさによって、敵の動きを正確に掴むことができる——まさに“勝つための音作り”。
足音モードとEQの組み合わせで、自分のプレイスタイルに最適な音環境を作り上げられる点も魅力です。
「音の情報で一歩先を読む」――その体験を最も自然に実現するのが、この「VR3000 EX for Gaming」です。
final 「VR3000 EX for Gaming」の装着感と快適性

final 「VR3000 EX for Gaming」は、「長時間プレイでも疲れにくい装着性」をテーマに設計されたゲーミングヘッドセットです。
本体重量は約389gとワイヤレス機としてはしっかりした重さですが、final独自の荷重分散設計と柔軟な可動機構により、数値以上に軽く感じるバランスを実現しています。
重量バランスと長時間使用の影響
まず注目すべきは、頭部への当たり方を最適化した構造です。
ヘッドバンドのクッション性と側圧の強さのバランスが絶妙で、頭頂部に重みが集中しないよう設計されています。
快適に感じる理由
- 頭頂の圧迫を軽減:荷重が側面へ自然に分散され、上から押し付けられる感覚が少ない
- 側圧はやや強め:適度なホールド感があり、激しい動きでもズレにくい
- ケーブルレスの自由さ:ワイヤレス設計により、首や肩の可動を妨げない
ただし、389gという重量は長時間使用では無視できません。
特に2時間を超えるセッションでは、定期的な休憩や位置の調整を行うことで快適性を維持できます。
長時間使用のコツ
- プレイごとにヘッドバンドを数ミリずらして装着
- 耳周りを軽くマッサージして血流を促す
- 夏場は扇風機や冷却ジェルで熱のこもりを防ぐ
“重さ”ではなく“設計”で快適さを作る──
それがfinalの設計哲学を最も感じられるポイントです。
イヤーパッド・ヘッドバンドの素材と設計思想
「VR3000 EX for Gaming」は、素材の使い分けにもこだわりが見られます。
ヘッドバンドは通気性重視の布素材、イヤーパッドは遮音性を優先したレザー調クッション。
この組み合わせにより、密閉感と快適性の両立を図っています。
構造と素材の特徴
- イヤーパッド:
- 厚みのあるレザー調クッションで耳を包み込む構造
- 遮音性が高く、周囲の雑音を効果的に遮断
- 長時間の使用ではやや熱がこもりやすいが、密着性は抜群
- ヘッドバンド:
- メッシュ生地で通気性を確保し、蒸れを軽減
- 柔らかく頭頂への圧を分散する素材構成
- ハウジング構造:
- スイベル機構で角度を細かく調整可能
- 耳の形や頭の傾きに自然に追従し、フィット感を高める
快適性に関する印象
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 密着感 | ★★★★★ | 耳全体をしっかり包み込み、遮音性が高い |
| 通気性 | ★★★☆☆ | 夏場はやや熱を感じるが、布バンドがカバー |
| 側圧バランス | ★★★★☆ | 適度なホールドで安定感がある |
| 長時間快適性 | ★★★★☆ | 2時間を超えると少し重さを意識する程度 |
快適性を高める装着テクニック
ヘッドセットは、角度や装着位置を少し変えるだけで快適性が大きく変わります。
finalも公式で「耳の後ろを包み込むように傾けて装着する」ことを推奨しています。
おすすめの装着法
- ハウジングを少し後ろに傾ける
→ 耳の後ろを覆うことで、密閉感が高まり音漏れも減少。 - ヘッドバンド位置を微調整する
→ 頭頂部中央より少し前後にずらすと、重みの集中を軽減。 - イヤーパッドの位置を確認する
→ 耳全体がパッド内に収まっているかをチェック。 - メガネ使用者はテンプル形状に注意
→ 細いテンプルの方が干渉しにくく、側圧も和らぐ。
季節ごとのおすすめ運用
- 夏場:通気性を優先し、扇風機や送風で熱を逃がす
- 冬場:遮音性が保温にも寄与し、快適に長時間使用可能
「VR3000 EX for Gaming」の装着感は、「重いのに軽く感じる」設計と表現できます。
レザー調パッドの密閉感と、メッシュバンドの通気性が絶妙に組み合わされ、ワイヤレスながらも頭部にしっかりと安定してフィットします。
確かに389gという数値は軽量モデルと比べると上ですが、荷重分散設計と自然なフィット感のおかげで、長時間プレイでも集中を切らさずに没入できるヘッドセットに仕上がっています。
快適さは“軽さ”ではなく、“設計のバランス”で決まる。
「VR3000 EX for Gaming」は、その哲学を体現したモデルです。
final 「VR3000 EX for Gaming」のマイク性能と使い勝手

「VR3000 EX for Gaming」 のマイクは、ゲーミングに特化した実用設計が魅力です。
ブームタイプのマイクを採用し、通話・配信・会議など、あらゆるシーンで明瞭な音声を届けられるよう工夫されています。
単なる付属品ではなく、finalが「音の正確さ」を追求した姿勢がマイクにも反映されています。
跳ね上げ式マイクの仕様と音質傾向
このモデルのマイクは跳ね上げ式の一体型ブームマイクを採用しており、取り外しはできませんが、そのぶん操作が直感的で安定しています。
上げ下げの動作でオン/オフを物理的に切り替えられるため、ミュート操作を一目で確認できる安心感があります。
マイク仕様
- 形式:一体型ブームマイク(左側に搭載)
- 操作:下げるとオン、上げて押し込むとミュート
- 指向性:単一指向性(自分の声を中心に拾う)
- 取り外し:不可(ケーブルやプラグなしの一体設計)
音質の印象
- 中域が明瞭で、声が通りやすい
- ノイズ除去は軽めで、環境音はある程度拾うがこもり感が少ない
- キー入力音やクリック音は入るが、音量差で自然に分離される
ポイント
- ゲームVCやオンライン会議で使うと、声が前に出る自然な聞こえ方
- ノイズ抑制フィルターを併用すれば、配信や実況にも十分対応可能
finalらしい「素直で聴き取りやすい音」。
過剰な加工を避け、自然な声質を届ける設計です。
ミュート機構の仕組みと操作性
ミュート操作は非常にシンプルで、マイクを上げて押し込むだけ。
この動作には「カチッ」としたクリック感があり、物理的にミュート状態を確認できるのがポイントです。
操作方法
- マイクを下げる → 通話オン
- マイクを上げる(カチッと押し込む) → ミュート
メリット
- ソフト側の設定やキーボードショートカットに頼らず、瞬時にミュート可能
- 状態が目視で分かるため、配信中や通話中でも誤操作が起きにくい
- 構造がシンプルなので、耐久性にも優れる
注意点
- 上げ切らずに中途半端な位置にするとミュートが確定しないため、「クリック感を感じるまで押し込む」のが確実です。
- 長時間離席や飲食時は、上げミュートでマイクを守るのが安全です。
おすすめの使い方
- オンライン会議や配信で「入室時ミュート→発言時オン」を繰り返す運用がスムーズ
- 離席時や雑音が気になるときは、ブームを上げて物理的に遮断
“マイクを上げる=声を切る”という直感的な操作。
一目で状態が分かる安心感が、ゲームでも仕事でも大きなメリットです。
接続モード別の安定性と使い勝手
「VR3000 EX for Gaming」は、2.4GHzワイヤレス接続とBluetooth 5.3の2つのモードを搭載しています。
それぞれマイク通信の安定性や遅延が異なり、用途に合わせて切り替えるのが理想です。
接続方式の比較
| 特徴 | 2.4GHzワイヤレス(USBドングル) | Bluetooth 5.3 |
|---|---|---|
| 遅延 | 約25ms以下。映像・音声ズレがほぼ無い | 約0.2〜0.3秒の遅延あり |
| 安定性 | PCや据え置き機で安定。混線耐性が高い | スマホ・タブレット向け。環境依存あり |
| 音質 | クリアで定位感を損なわない | 圧縮により高域がやや丸くなる |
| おすすめ用途 | FPS・配信・ボイスチャット | 音楽・動画・カジュアル通話 |
実用的なポイント
- ゲームや通話では2.4GHzモードが必須レベル。
遅延がほぼなく、VC(ボイスチャット)の反応も自然。 - Bluetoothモードは外出時の簡易用途に最適。
動画視聴や日常的な音声通話では十分な音質です。 - 通信が不安定な場合は、USBドングルをPCの正面ポートや延長ケーブルで設置すると改善しやすい。
ゲーミングで“会話がワンテンポ遅れる”という問題を根本から排除。
2.4GHz接続を選べば、プレイ中の連携もリアルタイムに行えます。
「VR3000 EX for Gaming」のマイクは、「速く、確実に、自然に」を重視した実用的な設計です。
- 声をクリアに拾う中域重視のチューニング
- 跳ね上げるだけの物理ミュートで安心感が高い
- 2.4GHz接続で低遅延・高安定な音声チャットを実現
- Bluetooth接続で日常利用にも柔軟に対応
確かに取り外し式ではありませんが、その分だけ操作ミスが少なく、構造も堅牢。
会話中心のゲームやボイスチャット、配信でも安定した音質を維持できる、信頼性の高いマイクです。
finalらしい「誠実な音づくり」が、マイクにも宿る。
「VR3000 EX for Gaming 」は、“声を届ける道具”としても完成度の高い一台です。
final 「VR3000 EX for Gaming」を使用した私の体験談・レビュー

実際に「VR3000 EX for Gaming」を数週間にわたって使用し、ゲーム・ボイスチャット・作業・動画視聴といった多様な環境で検証しました。
ワイヤレス特有の開放感と、finalらしい定位重視の音作りがどう体感に結びつくのかを中心にレビューします。
セットアップと初期印象
2.4GHzドングルをPCに差し込むだけで接続完了。
ペアリングは即座に行われ、設定不要のシンプルさが好印象でした。
アプリによる設定はスマホ経由で行う必要がありますが、UIが直感的で、EQや足音モードの変更もスムーズです。
良かった点
- ドングル接続で低遅延・安定通信
- 説明書を読まなくても扱える直感設計
- アプリでのEQ操作が軽快
気になった点
- PC上での調整ができず、アプリ操作前提なのはやや不便
セットアップの段階から、余計な手間を極力減らした“ユーザーフレンドリーな設計”を感じました。
ゲームでの定位感と音の描写力
FPSタイトルで使用したところ、最も印象的だったのは上下・前後の音の立体感です。
敵の足音やリロード音がどの方向から聞こえてくるかを正確に捉えられ、特に階層構造のマップで有効でした。
ゲーム中の特徴
- 定位の正確さ:上階・下階・背後の区別が明瞭
- 距離感の自然さ:音の強弱で距離が直感的にわかる
- 音の分離感:複数音が重なっても埋もれにくい
足音モードは劇的な変化ではないものの、常時ONでの自然な聴こえ方が好印象。
EQで中域(2〜4kHz)をわずかに上げると、足音や環境音の抜け感がさらに向上しました。
| 使用シーン | 効果的なEQ設定例 |
|---|---|
| 競技FPS | 150〜250Hz:-1dB / 2〜4kHz:+2dB |
| シューター全般 | 6〜8kHz:+1dB(銃声・リロード音を強調) |
| 長時間プレイ | 全体をフラット+中域+1dBで疲労を軽減 |
誇張感がないからこそ、音の“位置”が正確に掴める。
素直な定位と反応の速さがプレイの安定感に直結しました。
装着感と疲労感の少なさ
装着した瞬間に感じるのは、ヘッドバンドの当たりの柔らかさ。
重量は約389gと決して軽くはありませんが、final独自の荷重分散構造により長時間でも疲れにくく感じました。
装着時の印象
- 頭頂部の圧迫が少なく、重心が自然に分散
- 側圧はしっかりめで、ズレにくく安定感がある
- イヤーパッドのクッション性が高く、耳を包み込む装着感
一方で、夏場はレザー調パッドによる熱のこもりを感じることもありました。
2時間以上のプレイでは、短い休憩を挟むか位置を微調整することで快適さを維持できます。
マイクの使い勝手と通話品質
マイクは跳ね上げ式で、上げて押し込むと自動でミュートになる仕様。
物理的にオン/オフを切り替えられるため、配信や会議でも安心して使えました。
マイクの特徴
- 声の輪郭がはっきりしており、通話で聞き取りやすい
- 機械音やキーボード音は少し拾うが、ノイズ抑制で十分対処可能
- ミュート操作が感覚的で、不意の“入れっぱなし事故”を防止
通話品質はクリアで、長時間のVCでも声の疲れが少ない印象。
「自然で明瞭」──まさにfinalらしいマイク設計でした。
日常使いでの印象(作業・動画・通話)
ゲームだけでなく、日常シーンでもその使い勝手は快適でした。
Bluetoothモードに切り替えれば、スマホでの音楽鑑賞や動画視聴もスムーズです。
使用場面ごとの感想
- テレワーク:マイクの明瞭さで相手の反応が取りやすい
- 動画鑑賞:中高域の解像感が高く、セリフがクリア
- 作業用BGM:密閉感が高く、外音を遮断して集中できる
バッテリーは公称通り長持ちで、1日6〜7時間の使用でも4〜5日間は充電不要でした。
充電残量はアプリから確認でき、突然の電池切れがない安心設計です。
使用を通じて感じた長所と改善点
| 項目 | 良かった点 | 改善してほしい点 |
|---|---|---|
| 音質・定位 | 上下含めて立体的で自然な定位感 | 足音モードをもう少し強調できると理想 |
| 装着感 | 側圧が安定してズレにくい | 重量をもう少し軽くしてほしい |
| マイク | 明瞭で操作が直感的 | ノイズカット性能はやや控えめ |
| バッテリー | 長持ちで安心 | バッテリー残量をPC側でも確認できると便利 |
“音を聴く・話す・集中する”という三要素をバランスよくこなす万能機。
それでいてオーディオメーカーらしい音の正確さが随所に光ります。
体験談の総括
「VR3000 EX for Gaming」は、音の定位・装着の安定感・マイクの信頼性という三本柱が高いレベルで融合したモデルでした。
有線ヘッドセットに慣れている人でも、「ケーブルがない快適さと音の精度の両立」をすぐに体感できるでしょう。
確かに軽量モデルではありませんが、その“重さ”すらも設計で補う完成度の高さ。
finalが培ってきた音響設計力が、ゲーミングというフィールドでも遺憾なく発揮されています。
ゲームでも仕事でも「音で判断する力」を支えてくれる、信頼できるパートナー。
「VR3000 EX for Gaming」 は、まさにそんな存在でした。
final 「VR3000 EX for Gaming」に関するQ&A

final 「VR3000 EX for Gaming」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「VR3000 EX for Gaming」とイヤホン版の「VR3000 for Gaming」の違いは?
一番の違いは音場の広がりと立体表現です。ヘッドセット化によりドライバー周辺の空間設計に余裕が生まれ、上下の定位や距離感がより自然に再現されています。また、マイクやワイヤレス機能を搭載し、ゲーム環境での利便性も大きく向上しています。
ワイヤレス接続の遅延は気になりますか?
2.4GHzドングル接続の場合、遅延は約25ms未満と非常に低く、映像と音のズレをほとんど感じません。
Bluetooth接続では若干の遅延(0.2〜0.3秒)があるため、ゲームではドングル接続、動画や音楽ではBluetoothがおすすめです。
足音モードはどのような効果がありますか?
足音モードをONにすると、中域(2〜4kHz)付近の音がわずかに強調され、足音や環境音の方向がつかみやすくなります。
過剰にブーストされるタイプではなく、長時間のプレイでも聴き疲れしない自然な調整です。
重量が389gとありますが、実際の着け心地はどうですか?
数値上はやや重めですが、ヘッドバンドの荷重分散設計と柔らかいクッションにより、体感的には軽く感じられます。
2〜3時間程度の使用であれば大きな負担は感じにくいです。
ただし、長時間プレイでは位置調整や短い休憩を挟むのがおすすめです。
マイクの音質はどの程度ですか?
声の明瞭さを重視したチューニングで、通話・配信・会議用途に十分な品質です。
跳ね上げると自動でミュートになる物理ミュート機構も備えており、誤送信を防げます。
ノイズ除去は軽めなので、必要に応じてソフト側で補完するとさらに快適です。
バッテリー持ちはどのくらいですか?
公称で最大55時間連続再生可能。実使用でも1日6〜7時間使って4〜5日持つほどのロングライフです。
充電頻度を気にせず、週末ゲーマーでも安心して使える持続力があります。
スマホでも使えますか?
はい、Bluetooth 5.3に対応しており、スマホやタブレットとの接続も可能です。
ただし、アプリでの設定変更はスマホ専用となるため、PCでのイコライザー調整などはできません。
有線接続はできますか?
いいえ、本製品は完全ワイヤレス専用設計です。
3.5mm有線接続端子は非搭載のため、有線を前提とする環境(オーディオIFなど)には非対応です。
長時間使用で蒸れませんか?
イヤーパッドはレザー調素材で密閉性が高いため、夏場や湿度が高い環境では多少の熱こもりを感じます。
その分、遮音性が高く集中しやすいので、短い休憩を挟みながらの使用がおすすめです。
PS5やNintendo Switchでも使えますか?
はい、2.4GHzドングルをUSB-Aポートに挿すだけで使用可能です。
PS5では低遅延モードが有効に働き、ボイスチャットやFPSでも違和感なくプレイできます。
Switchの場合はドック経由の接続が安定します(携帯モードでは非対応)。
音楽鑑賞用としても使えますか?
可能です。もともとfinalはオーディオメーカーのため、音楽的なバランス感にも優れています。
ゲーム向けのフラットチューニングにより、
- ボーカルの明瞭さ
- 楽器の定位感
- 奥行きの自然さ
が保たれており、日常のリスニング用としても快適です。
ノイズキャンセリング機能はありますか?
アクティブノイズキャンセリング(ANC)は非搭載です。
ただし、イヤーパッドの密閉性と遮音性が高いため、外部ノイズをある程度は軽減できます。
“パッシブな静寂”を実現している構造です。
競合製品と比べてどんな人に向いていますか?
“演出より精度”を求めるユーザーに最適です。
爆発音や重低音を派手に鳴らすタイプではなく、音情報の整理・位置把握・明瞭さを重視するプレイヤーに強くおすすめします。
final 「VR3000 EX for Gaming」レビューのまとめ

「VR3000 EX for Gaming」は、オーディオメーカーfinalらしい“誠実な音作り”を土台に、競技プレイで効く定位と運用のしやすさを丁寧に積み上げたワイヤレス・ヘッドセットです。
派手さより情報量と分離を優先し、上下を含む立体把握・自然な距離感・低遅延という勝ち筋に直結する要素をしっかり押さえています。
総合評価
- 音:中域の見通しと情報の分離が秀逸。演出過多にならず、足音・リロード・接地音が埋もれにくい。
- 定位:前後左右に加え上下の差異が掴みやすい。階層マップで特に強み。
- 遅延:2.4GHz接続の25ms未満級で違和感の少ない同期感。
- 装着:389g級でも荷重分散と可動機構で“数値より軽く感じる”バランス。
- マイク:跳ね上げ+押し込みの物理ミュートが安心。声は自然で明瞭。
- 運用:最大約55時間のバッテリーで充電ストレスが少ない/設定はスマホアプリ前提。
良いところ/気になるところ
良いところ
- 情報が整理された実戦的なサウンド(立体定位・分離・距離感)
- 2.4GHz低遅延 × 物理ミュートで連携と配信が安定
- 長時間バッテリーとケーブルレスで集中が途切れにくい
- EQで“ほんの少し”足せばプレイに合わせて仕上がる
気になるところ
- 本体は重め(約389g):長時間は小休止や装着角度の工夫が前提
- PC用設定ソフトなし:EQ・残量確認はスマホアプリ運用
- 有線端子非搭載:オーディオIF直結派や超低遅延を“ケーブルで”求める層とは相性が悪い
こんな人におすすめ
- 競技FPS/TPSで定位と距離感を武器にしたい人
- ケーブルから解放されつつ、低遅延と長時間駆動を両立したい人
- 足音・環境音を自然なバランスのまま聴き取りたい人(誇張より実用派)
別の選択が向く人
- とにかく軽さ最優先(300g級の軽量機が好み)
- 有線接続やPCネイティブの詳細制御が必須
- 足音を極端にブーストする“派手め”の味付けが好み
使いこなしのヒント
- 競技系:足音モードON+EQで2–4kHzを+1〜2dB、150–250Hzを-1dBから微調整
- 安定運用:Windowsの「立体音響」「オーディオの強化」はオフ、ドングルは前面or延長で遮蔽回避
- 快適性:ハウジングをわずかに後傾、2時間ごとに位置リセットで疲労を抑制
final 「VR3000 EX for Gaming」レビューの総括
「VR3000 EX for Gaming」は、オーディオメーカーfinalが「ゲーミング」という領域に真正面から取り組んだ意欲作です。
単にゲーム用ヘッドセットという枠を超え、音の情報を正確に伝える“道具”として設計されています。
実際に使用してみると、低遅延かつ自然な立体音場がもたらす没入感、重さを感じさせにくい装着バランス、物理ミュートによる確実な操作感など、細部までの完成度が際立っていました。
派手な低音や演出ではなく、状況を正確に読み解くための音を届けてくれる点こそが、このヘッドセットの真価です。
一方で、有線接続非対応やPCアプリ未対応といった制限はあるものの、それを補って余りある音質と安定性、そしてバッテリー持続力があります。
日常の音楽鑑賞から長時間のゲームプレイまで、どの場面でも誠実で自然なサウンドを提供してくれる存在です。
「VR3000 EX for Gaming」は、「音で勝ちたい」「音で集中したい」と考える人にとって、確かな信頼を置ける一台。
静かに、しかし確実に――あなたのプレイを支える“finalの答え”です。
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