PCゲーマー、特にFPSプレイヤーの間で、キーボード選びは勝敗を分ける重要な要素となっています。
昨今のトレンドは、磁気ホールセンサーを用いた「ラピッドトリガー」機能を搭載したキーボード一色と言っても過言ではありません。
WootingやRealforce GX1などが市場を席巻し、「磁気スイッチにあらずんばゲーミングキーボードにあらず」といった風潮さえ感じられるほどです。
しかし、すべてのプレイヤーが磁気スイッチ特有の、ある種無機質な打鍵感を好んでいるわけではありません。
- 「メカニカルスイッチならではの『カチッ』としたクリック感が欲しい」
- 「スコスコと指に吸い付くような、上質な打鍵感を楽しみたい」
- 「でも、ゲームでの反応速度には一切の妥協をしたくない」
このような、一見すると矛盾するような「贅沢な悩み」を抱えるユーザーは意外にも多いのではないでしょうか?
今回レビューする「VARO VM87-J」は、まさにそんなユーザーへの回答となる製品です。
このキーボードの最大の特徴は、純粋なメカニカルスイッチ搭載機でありながら、実測値で約0.2msという驚異的な低遅延を実現している点にあります。
これは、現在市場に出回っている多くのラピッドトリガー搭載機に匹敵、あるいは凌駕するほどの応答速度です。
さらに、カスタムキーボード愛好家も唸る「ガスケットマウント構造」や、HMXと共同開発した高品質なキースイッチを採用。
「速さ」だけではなく「気持ちよさ」にも徹底的にこだわって作られています。
この記事では、VARO VM87-Jを実際に使い込み、そのスペックの真偽から実際の使用感、そして「ラピッドトリガー全盛期にあえてメカニカルを選ぶ意味」について、徹底的に深掘りしていきます。
VARO VM87-Jの基本スペックとデザイン

まずは、VARO VM87-Jの基本的な製品仕様と外観デザインについて詳しく見ていきましょう。
シンプルながら洗練されたTKLデザイン
VM87-Jは、ゲーミングキーボードとして最もポピュラーなテンキーレス(TKL / 80%)サイズを採用しています。
フルサイズキーボードからテンキー部分を省略したこの形状は、横幅が抑えられているため、マウスを大きく振るスペースを確保しやすく、FPSプレイヤーにとって理想的なフォームファクタです。
【外観・デザインの特徴】
- カラーバリエーション: ブラック、ホワイトの2色展開
- 筐体素材: 高品質プラスチックケース
- 装飾: 派手なロゴや過度なRGBラインを排したミニマルデザイン
- 重量: 約800g
筐体はプラスチック製ですが、手に取った瞬間に感じるのは「安っぽさ」ではなく「実用的な堅牢さ」です。
表面はマットな質感で仕上げられており、指紋が目立ちにくくなっています。
特筆すべきは、右側面に配置されたLEDインジケーターと、手前側にあるVAROのロゴプレートです。
これらは主張しすぎず、それでいて所有欲を満たす絶妙なアクセントになっています。
重量は約800gと、アルミニウムケースを採用したハイエンドカスタムキーボード(1.5kg〜2kg前後)と比較すると軽量です。
しかし、これが逆に「取り回しの良さ」に繋がっています。
デスク上の掃除をする際や、少し配置を変えたい時に片手でサッと動かせる軽快さは、日常使いにおいて大きなメリットとなります。
もちろん、底面には滑り止めゴムがしっかりと配置されているため、激しいプレイ中にキーボードがズレるようなことはありません。
3モード接続による高い汎用性と切り替え
現代のデバイス環境において、「接続方法の柔軟性」は非常に重要です。
VM87-Jは、以下の3つの接続モードに対応しており、背面のスライドスイッチで瞬時に切り替えることができます。
| 接続モード | 特徴・用途 | ポーリングレート |
|---|---|---|
| 有線接続 (USB-C) | 充電不要、最高の応答速度。競技性の高いゲームプレイに必須。 | 8000Hz |
| 2.4GHz無線 | 専用ドングル使用。低遅延なワイヤレス接続。カジュアルゲームや日常使いに。 | 1000Hz |
| Bluetooth 5.0 | 最大3台までマルチペアリング可能。タブレット、スマホ、サブPCでの入力作業に。 | – |
背面の物理スイッチは「2.4G / USB / BT」と明確に分かれており、直感的な操作が可能です。
また、Windows配列とMac配列を切り替えるスイッチも独立して存在するため、Macユーザーもキー配列の違和感なく使用開始できます。
この「3モード接続」のおかげで、例えば以下のような使い分けが1台で完結します。
- メインPC(ゲーム用): 有線接続でガッツリFPS。
- サブPC(配信用・作業用): 2.4GHzドングルで接続し、ケーブルレスでデスク周りをスッキリさせる。
- iPad(チャット・メモ用): Bluetoothで接続し、PCゲームのマッチング待ち時間に返信。
専用のワイヤレスドングル(レシーバー)は、本体背面の専用ポケットに収納可能となっており、持ち運び時の紛失リスクを軽減してくれます。
ただ、収納場所が少し見つけにくい位置(背面パネルの一部のようなデザイン)にあるため、初見では探してしまうかもしれません。
こだわりの内部構造とPBTキーキャップ
VM87-Jが単なる「反応が速いだけのキーボード」ではないことを証明するのが、その内部構造とキーキャップへのこだわりです。
【高耐久・高品位なPBTキーキャップ】
キーキャップの素材には、PBT(ポリブチレンテレフタレート)を採用しています。
一般的なABS樹脂と比較して以下のようなメリットがあります。
- 耐摩耗性: 表面が削れにくく、長期間使用しても「テカリ」が出にくい。
- 感触: ザラザラとした梨地加工が施されており、指先のグリップ感が良い。
- 厚み: 約1.7mmという肉厚設計により、低音が強調された重厚な打鍵音を生み出す。
プロファイル(形状)は、多くのメカニカルキーボード愛好家に好まれるCherryプロファイルを採用。
指の運びがスムーズで、長時間のタイピングでも疲れにくい形状です。
印字は昇華印刷方式で行われており、文字が消える心配はほぼありません。
ただし、JIS配列(日本語配列)でありながら、キーキャップ上の印字はアルファベットのみ(かな文字刻印なし)という仕様です。
これによりデザインのシンプルさが保たれていますが、かな入力を使用するユーザーは注意が必要です。
VARO VM87-Jの選べる2種類のキースイッチと打鍵感

メカニカルキーボードの魂とも言える「キースイッチ」。
VM87-Jでは、性格の全く異なる2種類のスイッチから選択することができます。
どちらも工場出荷時にルブ(潤滑剤塗布)済みで、滑らかな押し心地が保証されています。
爽快な打鍵音とキレのあるVery Peri Linear
一つ目の選択肢は、スイッチメーカーHMXとVAROがコラボレーションして開発した特注スイッチ「Very Peri Linear(ベリーペリ・リニア)」です。
- タイプ: リニアスイッチ
- 押下圧: 45g ± 5g
- アクチュエーションポイント: 1.3mm
- スプリング長: 22mm(シングルステージ)
【打鍵感の特徴】
このスイッチの最大の特徴は、「Clacky(クラッキー)」と表現される、高音域で乾いた底打ち音です。
「コトコト」というよりは「カタカタ」「カツカツ」といった、非常にクリスピーで爽快な音が響きます。
22mmという非常に長いロングスプリングを採用しているため、初期押下圧は標準的ですが、押し込むにつれて反発力がリニアに上昇します。
そして何より、キーを離した瞬間の「返り」が非常に強いのが特徴です。
指に吸い付くようにキーが戻ってくるため、高速連打やFPSでの細かいストッピング動作(逆キー入力)のリズムが取りやすく、操作していて「楽しい」と感じさせるスイッチです。
圧倒的な静音性を誇るSilent Mint
二つ目の選択肢は、静音性に特化した「Silent Mint(サイレント・ミント)」です。
- タイプ: サイレントリニアスイッチ
- 押下圧: 46g ± 5g
- アクチュエーションポイント: 1.4mm
- スプリング長: 14mm(シングルステージ)
【打鍵感の特徴】
その名の通り、打鍵音が驚くほど静かです。
通常のメカニカルスイッチが「カチャカチャ」と鳴るのに対し、こちらは「スッ…スッ…」あるいは「トコ…トコ…」といった、囁くような音しかしません。
一般的にサイレントスイッチは、静音化のためのゴムパーツ(ダンパー)が内部にあるため、底打ちした時に「グニャッ」とした独特の感触(ゴムを噛んだような感触)が出がちです。
しかし、このSilent Mintはその不快感が極限まで抑えられています。
スプリングが14mmと短めに設定されているため、Very Periと比較すると押し心地はマイルドで、指への負担が非常に少ないです。
深夜のボイスチャット、寝室と同じ部屋でのゲームプレイ、あるいは静かなオフィス環境での使用において、これ以上ない選択肢となります。
ガスケットマウントによる上質なクッション性
どちらのスイッチを選んだとしても、VM87-Jの打鍵感を底上げしているのが「ガスケットマウント構造」です。
これは、基板(PCB)とプレートをケースにネジ止めせず、クッション材(ガスケット)で挟み込んで固定する構造です。
さらに、内部には4層にも及ぶ吸音材(フォーム)が充填されています。
- 衝撃吸収: 強くキーを叩いた際、構造全体が適度に沈み込み、指への衝撃を逃がす。
- 均一な打鍵感: プレートの端でも中央でも、打鍵感のバラつきが少ない。
- 音の純化: ケース内部の空洞による不快な反響音を消し、スイッチ本来の音だけを響かせる。
VM87-Jでは、柔軟性の高いポリカーボネート(PC)プレートを採用しているため、金属プレートよりもさらに柔らかく、マイルドな打ち心地を実現しています。
プラスチック筐体のキーボードとは思えないほど、高級カスタムキーボードに近い打鍵体験が得られます。
VARO VM87-Jのゲーミング性能とソフトウェア活用

「打鍵感が良い」だけでは、ゲーミングキーボードとしての価値は半分です。
VM87-Jの真価は、その圧倒的な応答性能にあります。
メカニカル最高峰の低遅延0.2msと8000Hz
VM87-Jは、有線接続時にポーリングレート8000Hzに対応しています。
これは1秒間に8000回、PCに対して入力情報を送信することを意味します。
一般的なゲーミングキーボード(1000Hz)の8倍の更新頻度です。
さらに、内部処理の最適化により、キーを押してから信号がPCに到達するまでの遅延(レイテンシー)は、実測値ベースで約0.21msという数値を叩き出しています。
- 一般的なメカニカル: 3.0ms 〜 8.0ms
- 高性能ゲーミングメカニカル: 1.0ms前後
- ラピッドトリガー搭載機: 0.1ms 〜 0.5ms
- VARO VM87-J: 0.2ms
この数値は、磁気スイッチを採用した最新鋭のラピッドトリガーキーボードと比較しても遜色ない、あるいはそれらを上回るレベルです。
「メカニカルスイッチだから反応が遅い」という常識は、このキーボードには当てはまりません。
QMK/VIA対応によるキーマップの自由度
本機は、自作キーボード界隈ではデファクトスタンダードとなっているファームウェア「QMK」および設定ツール「VIA」に対応しています。
大手メーカー製デバイスのような専用ソフトウェア(Razer SynapseやG HUBなど)をPCにインストールする必要がありません。
Webブラウザ上で動作する「VIA」にアクセスするだけで、すべての設定が可能です。
【VIAで出来ること】
- キーマップの変更: AキーをBキーに変えるといった単純な変更から、レイヤー機能を使った複雑な配置まで自在。
- マクロの作成: 複雑なコマンド入力をワンボタンで実行。
- ライティング設定: RGB LEDの色や光り方のパターン変更。
設定内容はキーボード本体のオンボードメモリに保存されるため、一度設定してしまえば、別のPCに繋いでも設定ソフトなしでそのままの環境が再現できます。
オフライン大会やネットカフェなど、自分のPC環境以外でプレイする際にも非常に有利です。
ラピッドトリガー非搭載でも選ばれる理由
「なぜ今、ラピッドトリガー非搭載のVM87-Jを選ぶのか?」
その答えは、「物理的な信頼性」と「誤爆の少なさ」にあります。
ラピッドトリガーは、キーを0.1mm戻すだけで入力が切れるという圧倒的な利点がありますが、その反面、「指を置いただけ」で反応してしまったり、震えで誤入力が発生したりする「敏感すぎる」リスクも抱えています。
対してVM87-Jのようなメカニカルスイッチは、「ここまで押し込んだらオンになる」「ここまで戻したらオフになる」というポイントが物理的に固定されています。
- 明確なオン/オフ感: 自分の指でスイッチの接点を感じ取ることができる。
- プレッシャーへの強さ: 緊迫した場面で指に力が入っても、意図しない入力暴発(誤爆)が起きにくい。
「自分の操作が100%正確に反映される安心感」を重視するプレイヤーにとって、0.2msの超低遅延で動作するメカニカルスイッチは、ラピッドトリガー以上の武器になり得るのです。
VARO VM87-Jを使用した私の体験談・レビュー

ここからは、実際に私がVARO VM87-J(Very Peri軸モデルとSilent Mint軸モデルの両方)を2週間ほどメインで使用してみた、生の体験談をお届けします。
開封して最初に感じた質感と重量バランス
パッケージを開封し、本体を取り出した瞬間の第一印象は「想像以上に質感が良い」でした。
レビューなどで「プラスチックケース」と聞いていたので、正直なところもっと玩具っぽい軽い質感を予想していました。
しかし実際は、マットな表面仕上げの密度が高く、指で叩いても中身が詰まっているような剛性感があります。
約800gという重量も絶妙です。普段アルミ削り出しの重いキーボード(約2kg)を使っている私からすると「軽くて扱いやすい」と感じましたし、逆にメンブレンなどの軽量キーボードからの乗り換えであれば「どっしりと安定している」と感じるはずです。
FPSタイトルでの応答速度と操作感
『VALORANT』と『Apex Legends』を中心にプレイしました。
使用したのは「Very Peri Linear」モデルです。
結論から言うと、遅延を感じることは一切ありませんでした。
特に『VALORANT』でのストッピング動作において、キーを離した瞬間の反応速度は極めて鋭いです。
ラピッドトリガー機能はありませんが、Very Periスイッチの22mmロングスプリングによる「強い跳ね返り」が、指を押し戻すのを物理的に助けてくれる感覚があります。
「タンッ!タンッ!」と小気味よい底打ち音と共にキャラクターがキビキビと動くため、リズムに乗ってプレイできました。
磁気スイッチのヌルッとした感覚が苦手な私にとって、この「操作している感」の強さは大きなアドバンテージだと感じました。
長時間の執筆作業における疲労感の違い
次に、この記事の執筆を含む長文タイピング作業にて「Silent Mint」モデルを使用しました。
こちらはまさに「疲労知らず」です。
ガスケットマウントの柔らかさが最も活きるのは、実はゲームよりもタイピング時かもしれません。
何千回、何万回とキーを底打ちし続けても、指先への衝撃がマイルドにいなされるため、指の関節が痛くなりません。
そして何より静かです。Web会議中にマイクオンのままメモを取っても、相手にキーボードの音が拾われることはありませんでした。
「スコスコ」という静かな感触は中毒性があり、無意識にタイピングしたくなる魅力があります。
ワイヤレス接続の安定性とデバイス切り替え
2.4GHz接続を用いて、リビングの大型テレビに繋いだPCでMMORPGをプレイしてみました。
ルーターやスマホなどの電波が飛び交う環境でしたが、接続が途切れたり、入力が遅れたりするようなトラブルは皆無でした。
また、手元のスイッチでBluetoothに切り替え、iPadで攻略サイトを見ながらチャットを打つ、というフローも非常にスムーズ。
切り替えにかかる時間は約2〜3秒程度で、実用上まったくストレスになりません。
実際に使って気になった点と注意点
概ね大満足のVM87-Jですが、気になった点も正直に挙げます。
- VIAの設定難易度:
ブラウザで設定できるのは便利ですが、UIが英語ベースであり、また「.jsonファイル」の読み込みが必要な場合があるなど、PC知識がない初心者には少しハードルが高いと感じました。 - LEDの位置:
LEDインジケーターが右側面にあるため、覗き込まないと現在のステータス(Caps Lockの状態やバッテリー残量など)が確認しづらい時がありました。 - キーキャップの透過性:
PBTキーキャップは高品質ですが、文字部分が光を透過しないタイプです。
暗い部屋でRGBバックライトを点灯させても、キーの文字自体は光らないため、ブラインドタッチが苦手な人は暗所での視認性に注意が必要です。
体験談の総括
ここまで様々な角度からVM87-Jを使い込んでみましたが、個人的な結論として、このキーボードは「ゲーム性能」と「道具としての心地よさ」のバランスが極めて優れた一台だと感じました。
FPSで勝つための速度(0.2ms/8000Hz)を持ちながら、試合の合間のチャットや普段の作業がこれほど楽しいキーボードは稀です。
ラピッドトリガーという尖った機能こそありませんが、それ以外の「キーボードとしての基礎体力」が非常に高いため、一度手に馴染めば、ジャンルを問わず長く愛用できる相棒になると確信しました。
VARO VM87-Jに関するよくある質問(Q&A)

VARO VM87-Jに関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
ラピッドトリガー機能は搭載されていますか?
いいえ、搭載されていません。 本製品は磁気スイッチではなく、通常のメカニカルスイッチを採用しています。そのため、キーの押し込み量でオンオフを切り替えるラピッドトリガー機能(可変アクチュエーションポイント)には対応していません。その代わり、実測値約0.2msという非常に高速な応答速度を実現しています。
キースイッチの交換(ホットスワップ)は可能ですか?
はい、可能です。 ホットスワップに対応したPCB基板を採用しており、ハンダ付けなしでスイッチを交換できます。3ピンおよび5ピンの一般的なMX互換メカニカルスイッチに対応しているため、好みのスイッチに載せ替えてカスタマイズすることも可能です。
PS5やSwitchなどの家庭用ゲーム機でも使えますか?
基本的なキーボードとしては使用できる可能性がありますが、性能をフルに発揮できないためPCでの使用を推奨します。 USB接続すれば文字入力などは認識される場合が多いですが、本製品の特徴である8000Hzのポーリングレートや詳細なキー設定はPC環境が必要となります。また、メーカーから公式にコンソール対応がアナウンスされているわけではありません。
Mac(macOS)には対応していますか?
はい、対応しています。 本体背面に「WIN / MAC」の切り替えスイッチがあり、Mac配列として使用することが可能です。
バックライトは光りますか? 文字は透けますか?
背景のRGBライティングは光りますが、キーの文字は透けません。 QMK/VIAソフトウェアを通じてライティングのパターンや色を変更することは可能です。しかし、標準搭載のPBTキーキャップは文字部分が透明ではないため、暗い部屋で文字を光らせて視認することはできません。
設定のために専用ソフトウェアのインストールは必要ですか?
いいえ、インストール不要です。 本製品は「QMK/VIA」に対応しており、Webブラウザ上で動作する「VIA」というツールを使ってキー配置やライティングの設定が可能です。会社のPCやネットカフェなど、ソフトを勝手にインストールできない環境でも設定を変更できます。
有線と無線、どちらで使うのがおすすめですか?
用途によりますが、FPSなどの競技ゲームでは「有線」を推奨します。 有線接続時は最大8000Hzのポーリングレートで動作し、最も遅延が少ない状態になります。RPGや普段の作業であれば、ケーブルの煩わしさがない2.4GHz無線接続やBluetooth接続が快適です。
2つのスイッチ(Very Peri / Silent Mint)、どちらを選べばいいですか?
「音と感触を楽しみたい」ならVery Peri、「静かさを最優先」ならSilent Mintがおすすめです。
- Very Peri Linear: 「カタカタ」という高めの心地よい音が鳴ります。キーの跳ね返りが強く、操作している感覚が強いです。
- Silent Mint: ほぼ無音に近いです。夜間の使用や、マイクに音を入れたくない場合に最適です。タッチも非常に軽いです。
市販のキーキャップに交換することはできますか?
はい、構造上は可能です。 キースイッチは「Cherry MX互換」の十字ステムを採用しているため、多くの市販キーキャップを取り付けることができます。ただし、本製品は「日本語配列(JIS)」のため、スペースキーの長さやエンターキーの形状、最下段キーのサイズなどがUS配列用のキーキャップセットとは合わない場合があります。交換用のキーキャップを購入する際は、「日本語配列対応」または「ISO/JISエンターキー付属」「マルチレイアウト対応」と記載されたセットを選ぶよう注意が必要です。
Nキーロールオーバー(全キー同時押し)には対応していますか?
はい、対応しています。 複数のキーを同時に押しても、すべての入力が正確に認識されます。FPSでの複雑な移動操作や、音ゲーなどの同時押しが多用されるゲームジャンルでも問題なく使用できます。
バッテリー持ちはどのくらいですか?
バックライトの使用状況に大きく左右されます。 RGBライティングを最大輝度で点灯させていると、数日〜1週間程度で充電が必要になる場合があります。バッテリー持ちを最優先したい場合は、VIA設定またはショートカットキーでLEDをOFFにすることをお勧めします。OFFの状態であれば、数週間単位で長持ちすることが期待できます。
静音化リング(Oリング)を取り付ける意味はありますか?
「Very Peri Linear」モデルには効果がありますが、「Silent Mint」には不要です。 底打ち音がはっきりしているVery PeriスイッチにOリングを付けると、底打ち距離が短くなり音が静かになりますが、特有の爽快感は減る可能性があります。Silent Mintスイッチは元々内部にダンパー構造を持っているため、さらにOリングを付けると感触が悪くなる(ブニュブニュする)可能性が高く、あまり推奨されません。
VARO VM87-Jレビューのまとめ

最後に、VARO VM87-Jのレビューを総括します。
メリット・デメリットの総整理
| メリット (Pros) | デメリット (Cons) |
|---|---|
| 打鍵感が極上: ガスケットマウント+高品質スイッチによるリッチな体験。 | ラピッドトリガー非搭載: 可変アクチュエーション機能はない。 |
| 超低遅延: 実測0.2ms、8000Hz対応でメカニカル最速クラス。 | JIS配列のみ: US配列ユーザーには選択肢がない。 |
| 3モード接続: 有線・無線・BTの使い分けが便利。 | 設定の敷居: VIAソフトの操作に慣れが必要。 |
| コスパ良: このスペックと構造で約2万円は割安。 | 文字透過なし: 暗い場所では刻印が見えにくい。 |
コストパフォーマンスの評価
販売価格は約19,800円前後(販売店により変動あり)。
一見すると「2万円のキーボード」は高価に感じるかもしれません。
しかし、以下の要素を個別に揃えることを想像してみてください。
- ガスケットマウント搭載のベアボーンキット
- HMX製の高品質な潤滑済みスイッチ
- 高品位なPBTキーキャップ
- 8000Hz対応の低遅延PCB基板
これらを自作キーボードパーツとして集めれば、優に3〜4万円は超えてしまいます。
完成品として調整済みで、しかもワイヤレス対応でこの価格に収まっているのは、間違いなく破格のコストパフォーマンスと言えます。
競合製品との比較
同価格帯(2万円前後)には、大手メーカーのエントリー〜ミドルレンジモデルや、廉価版のラピッドトリガーキーボードが存在します。
- 対 ラピッドトリガー機:
機能面では劣りますが、打鍵感の質感、打鍵音の良さ、筐体の剛性感ではVM87-Jが圧倒的に勝っています。
「機能」を取るか「感触と品質」を取るかの勝負になります。 - 対 大手メカニカル機:
多くの大手製メカニカルキーボードは、まだトレイマウント構造(ネジ止め)が主流です。
ガスケットマウントを採用しているVM87-Jの方が、打鍵時の底打ち感や静音性において数段上の体験を提供してくれます。
どんなユーザーにおすすめか
VM87-Jは、以下のようなユーザーに強くおすすめできます。
- ラピッドトリガー不要派のガチゲーマー:
- 磁気スイッチの感触が合わなかった人。
- 物理的なクリック感や底打ち感を重視し、かつ応答速度は最速を求める人。
- 打鍵音・打鍵感にこだわりたい人:
- 「コトコト」「スコスコ」といったASMRのような上質な音を楽しみたい人。
- 安っぽいカチャカチャ音から卒業したい人。
- 環境を選ばず使いたい人:
- Silent Mint軸を選べば、オフィスや深夜の自宅でも気兼ねなく使用可能。
- デスクをスッキリさせたい人:
- 高性能なワイヤレス接続を求めており、複数のデバイスを使い分けたい人。
購入前に知っておくべき注意点
購入を検討する際、特に注意すべきは「キー配列」と「ソフトウェア」です。
現在、日本国内で流通しているモデルは日本語配列(JIS)のみです。
普段US配列(英語配列)に慣れ親しんでいる方は、Enterキーの形状や記号の配置の違いに戸惑う可能性があります。
また、設定に使用するVIAは非常に高機能ですが、「ソフトをインストールして終わり」という一般的なデバイスとは勝手が違います。
キー設定を頻繁に変える予定がある方は、事前にYouTubeやブログなどでVIAの使い方を軽く予習しておくと、購入後のセットアップがスムーズになるでしょう。
VARO VM87-Jレビューの総括
VARO VM87-Jは、「ゲーミングキーボードとしてのトップクラスの性能」と「カスタムキーボードとしての極上の打鍵感」を高次元で融合させた、稀有なプロダクトです。
プラスチックケースであることをネガティブに感じさせない完成度があり、むしろその軽さと扱いやすさがメリットに転じています。
「流行りのラピッドトリガーはどうも指に合わないが、かといって性能の低い古いキーボードには戻れない」
そんなジレンマを抱えていたゲーマーにとって、このキーボードは「待っていたのはこれだ」と思える運命の一台になる可能性を秘めています。
音と感触の爽快感を楽しむなら「Very Peri Linear」。
静寂と軽快さを極めるなら「Silent Mint」。
あなたの好みと環境に合わせてスイッチを選び、メカニカルキーボードの真髄とも言える「打つ楽しさ」と「勝てる性能」を体験してみてください。
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