ワイヤレスで“勝てる音”を手に入れたいなら、まず気になるのが遅延と定位、そして運用のしやすさです。
Razer 「BlackShark V3 Pro」は、その三つを正面から詰めた最新の旗艦モデル。
第2世代HyperSpeedによる低遅延無線、TriForceバイオセルロース50mmドライバーの高い分離感、2.4GHzとBluetoothの同時接続、弱め運用でも効果を実感しやすいノイズキャンセリング、ゲーム音とチャットのバランスや足音ブーストを素早く呼び出せる物理ホイールなど、“試合を止めない”ための要素が揃っています。
さらに最大70時間のバッテリーと15分の急速充電は、日々の充電ストレスを忘れさせる実用性です。
この記事では、単なるスペック列挙ではなく、実際のプレイや作業の流れに沿って使い心地を検証します。
“足音がどこから来るのかを素早く掴みたい”“配信や会議を同時に回しつつゲームを中断したくない”“一本で環境を完結させたい”。
こうしたニーズに対し、「BlackShark V3 Pro」は投資に見合うだけの時間短縮と安定を返せるのか。
良い点も弱点も隠さず、使う前に知っておきたい現実解をお届けします。

Razer 「BlackShark V3 Pro」の概要と進化点

要点は「低遅延・描写力・運用力」の3本柱。
そこにANCや同時接続などの“快適装備”が加わったのが「BlackShark V3 Pro」です。
主要スペック/対応環境/価格の目安
キモとなる仕様
- 無線レイテンシ:第2世代 HyperSpeed Wireless(約10ms)
- ドライバー:第2世代 TriForce バイオセルロース 50mm
- マイク:取り外し式 HyperClear フルバンド 12mm
- ノイズ対策:ハイブリッドANC(ANC/外音取り込み/OFF)
- 接続:2.4GHz/Bluetooth/USB有線/3.5mm(4方式)
- 2.4GHz+Bluetooth同時再生に対応(ゲーム音+スマホ通話/音楽をミックス)
- バッテリー:最大70時間(クイック充電:15分→約6時間)
- 重量:約367g
- サラウンド:THX Spatial Audio(PC)
※Windows 11 23H2以降+Synapseで有効
対応プラットフォームの基本観
- PC:2.4GHz/BT/USB/3.5mmすべて活用可。THXはWin11 23H2以降。
- PS/Xbox/Switch:2.4GHzや有線で利用可能(機能は機種ごとに異なる)。
- スマホ:Bluetoothで利用可。Razer Audioアプリで調整(※環境により認識が不安定な報告もあり)。
価格の目安
- 市場想定:4万円台(提供時期・店舗により変動)
「BlackShark V3 Pro」は“機能全部のせ”。
軽さや価格重視なら下位モデルも比較候補です(後述の簡易比較参照)。
第2世代HyperSpeedの“10ms級”と「4接続+同時接続」
なぜ10msが効く?
- 射撃・リロード・足音など“瞬間の手がかり”を掴みやすい
- 操作→音の知覚までの違和感が小さく、照準や判断がブレにくい
4つの接続方式を1台で
- 2.4GHz:主戦場(低遅延/安定)
- Bluetooth:スマホ連携や外出時
- USB有線:確実性・充電しながら
- 3.5mm:オーディオミキサー/配信環境など
同時接続(2.4GHz+BT)でできること
- PCゲーム(2.4GHz)+スマホ通話/音楽(BT)を同時に聴ける
- ゲームを止めずに通知対応/BGM操作が可能
バッテリー運用
- 連続70時間クラス+15分の急速充電で6時間
- 毎日2時間なら“ほぼ週1充電ペース”
ドライバー/ANC/マイクの“描写力”三位一体
第2世代 TriForce バイオセルロース 50mm
- 低・中・高を分離志向で設計し、足音/環境音/セリフを取り出しやすい
- バイオセルロース振動板で自然さと解像を両立(刺さりにくく長時間向き)
THX Spatial(PC)とステレオの使い分け
- 映画・没入:THXで広がり&高さ表現
- 競技FPS:ステレオ+EQの方が“方向と距離感”が明瞭なケースも
ハイブリッドANC&外音取り込み
- 室内ノイズ(空調など)を抑え集中度UP
- ボタン1つで会話モードへ切替
12mmフルバンド・着脱マイク
- 指向性強化でキーボード打鍵やファン音を拾いにくく、声の芯を届けやすい
- 着脱できるのでソロ視聴時は取り外して軽量化&スッキリ
兄弟モデルと“どこが違う?”(要点だけ)
項目 | V3 Pro | V3 | V3 X HyperSpeed |
---|---|---|---|
ドライバー | TriForce Bio-Cellulose 50mm(第2世代) | TriForce Titanium 50mm | TriForce 50mm |
マイク | 12mm フルバンド(着脱) | 約9.9mm(着脱) | 約9.9mm(着脱) |
ANC | あり(ハイブリッド) | なし | なし |
接続 | 2.4GHz/BT/USB/3.5mm | 2.4GHz/BT/USB(3.5mmなし) | 2.4GHz/BT/USB(3.5mmなし) |
同時接続 | 2.4GHz+BT | ― | ― |
バッテリー | 最大70時間 | 最大70時間 | 最大70時間 |
重量(目安) | 約367g | 約270g | 約270g |
立ち位置 | 全部入り旗艦 | 中核・軽量寄り | エントリー〜中級 |
選び分けの目安
- 最高の描写力と運用力を重視 → V3 Pro
- 軽さ&価格バランス → V3/V3 X
- アナログ入出力や配信ミキシングも視野 → V3 Pro(3.5mmあり)
概要と進化点のまとめ
- V3 Pro=“低遅延×描写力×運用力”を1台で極めた旗艦
- PCではTHX、競技ではステレオ+EQの“二刀流”が現実的
- 同時接続・ANC・物理ホイールなど、毎日使う“面倒”を減らす装備が充実
- 迷ったら:軽さ&価格 → 下位/機能全部のせ → Pro(配信や多デバイス連携があるならProが有利)
Razer 「BlackShark V3 Pro」の音質・定位・遅延の実力をどう評価するか

「BlackShark V3 Pro」は「解像度(情報量)」「定位(方向・距離の把握)」「遅延(反応速度)」の3点で評価するのがわかりやすいです。
まず結論から――競技はステレオ+EQ、没入はTHXが基本線。そこに足音ブーストと物理バランスホイールを足すと実戦対応力がぐっと上がります。
ステレオ解像度と“足音”の聴き分け
- 第2世代TriForce 50mmは帯域の“にじみ”を減らし、同時多発の音でも輪郭が崩れにくい。
- 右カップのダイヤルは足音ブースト/ゲーム⇄チャット比率/側音のいずれかに割り当て可。
- まずはステレオ+フラットEQを基準にし、必要な帯域だけ最小限で動かす。
EQの考え方(目安)
- 低域(〜120Hz):上げすぎると爆発音・重低音が被り足音が埋もれやすい
- 中域(100Hz〜1kHz):靴音・衣擦れ・リロードの**“実体感”**
- 中高域(1〜4kHz):金属・コンクリ反射など方向手がかり
- 高域(6kHz〜):空気感・残響(上げすぎると刺さりやすい)
はじめはフラット+足音ブーストのみ→状況に応じて中域〜中高域を“少しだけ”持ち上げる、が失敗しにくい手順です。
物理バランスホイールの利点
- 味方の声を一時的に優先/ゲーム音を瞬時に強調がワンアクション。
- UIを開かずに可聴優先度を即変更でき、チーム戦で効きます。
THX Spatial Audioの向き不向き(使い分け表)
THXはPC(Win11 23H2+Synapse)前提。
高さ方向まで合成するぶん、没入は強いが競技では好みが分かれる傾向があります。
シーン | 推奨モード | ねらい | 注意点 |
---|---|---|---|
競技系FPS | ステレオ+EQ | 足音・リロードのエッジと距離感を明快に | THXは位相や残響が加わり、輪郭が丸く感じる場合あり |
映画・ストーリー重視 | THX(イマシブ) | 高さ・奥行き・包囲感で没入度UP | サラウンド特性が合わなければ即ステレオへ |
カジュアル対戦 | ステレオ or THX(競技モード) | 好みとタイトルの設計で選択 | まずはステレオ基準で比較が安全 |
10ms級の低遅延と“集中を崩さない”運用
遅延:体感のズレを最小化
- 第2世代HyperSpeedで約10ms級。撃ち出し/被弾/リロードなどのタイミング把握がしやすい。
- 動画でも口元とセリフのズレが気になりにくい。
バッテリー&充電
- 最大70時間+15分充電で約6時間の実用性。
- 毎日2時間プレイでも週1充電ペースが目安。
ANC(ノイズキャンセリング)
- 空調・PCファンなどの定常ノイズを抑え、小音量でも細部が拾える。
- 圧迫感が気になる人は1段階弱めから。
使いこなしチェックリスト例(すぐ効く最短ルート)
- Windows側:空間音響(Windows Sonic等)OFF、THXはSynapse側で管理。
- 入出力の割当:再生をGame、通話アプリをChatへ。物理ホイールは足音 or バランスに設定。
- EQ運用:フラット基準 → 足音ブースト → 必要帯域だけ微調整。
- 検証手順:
- 静かなマップで足音・リロード・環境音だけ確認
- ダイヤルで足音ブーストを上下し、聞き取りやすい山を探す
- ステレオ⇄THXを切替え、方向・距離の掴みやすさを比較
音質・定位・遅延レビューまとめ
- 解像度:帯域分離志向のドライバーで“同時多発”でも輪郭が保たれる。
- 定位:競技=ステレオ、没入=THXの二刀流が現実的。
- 遅延:10ms級で違和感が小さく、判断がぶれにくい。
- 運用:足音ブースト/物理バランス/ANC/長時間バッテリーで、試合中の調整が“速い”。
Razer 「BlackShark V3 Pro」の比較・懸念点・購入判断の指針

V2 Pro/V3/V3 Xとの違いと選び方
まずはV3 Proを基準に“どこが増減しているか”を把握。
観点 | V3 Pro(基準) | V3 | V3 X HyperSpeed | V2 Pro |
---|---|---|---|---|
ドライバー | TriForce バイオセルロース 50mm(第2世代) | TriForce Titanium 50mm | TriForce 50mm | 旧世代TriForce系 |
低遅延無線 | 第2世代HyperSpeed(約10ms級) | 同左 | 同左 | 旧世代HyperSpeed相当 |
ANC/外音取り込み | あり(ハイブリッド) | なし | なし | なし |
接続方式 | 2.4GHz / BT / USB / 3.5mm | 2.4GHz / BT / USB(3.5mmなし) | 2.4GHz / BT / USB(3.5mmなし) | 2.4GHz / BT / USB(世代差あり) |
2.4GHz+BT同時再生 | 対応 | ― | ― | ― |
マイク | 着脱式 12mm フルバンド | 着脱式 約9.9mm | 着脱式 約9.9mm | 着脱式(小径) |
重量目安 | 約367g | 約270g | 約270g | 約318g前後 |
立ち位置 | 全部入り旗艦 | 中核・軽量重視 | エントリー〜中級 | 旧旗艦(良コスパ) |
選び方の指針
- V3 Pro:同時接続・ANC・3.5mmまで“全部ほしい”。配信/会議/スマホ通話を混在運用。
- V3:軽さと価格重視。PC/CSでワイヤレス中心、ANCや3.5mmは不要。
- V3 X:まずは基本を押さえたい入門〜中級。
- V2 Pro:価格次第で“旧旗艦の完成度”を狙う。最新機能不要でも質は欲しい人に。
迷ったらこの3点
- スマホ通話やBGMを“ゲームと同時”に聴く? → はい=V3 Pro
- ANCや3.5mm入力は使う? → はい=V3 Pro/いいえ=V3/V3 X
- 軽さを最優先? → はい=V3/V3 X(約270g)
装着感・重量・耐久(スイベル・イヤーパッド・フェイスプレート)
装着感と重量
- 約367g(V3 Pro)はワイヤレスでは重め。
- 肉厚バンド+楕円パッドで分散する設計だが、長時間なら実機の当たり(こめかみ/頭頂部)確認が安心。
- 眼鏡ユーザーは一度上に持ち上げ→軽く下ろす装着でテンプル圧を逃がしやすい。
可動・耐久
- スイベル(約15°)がフィット幅を拡げ、密閉度と圧迫感のバランスを調整。
- ヒンジは“しなり重視”。片手でねじる着脱は避けると持ちが良い。
イヤーパッド & フェースプレート
- パッドは取り外し可(公式手順前提)。汗冷え前の乾拭きルーティンで劣化を抑制。
- マグネット式フェースプレートはドレスアップ用。取り外しで左右合計約15g軽くなるが、見た目とのトレードオフ。
小ワザ(快適度アップ)
- ANCは一段弱め+音量−1目盛で耳疲労が減る。
- ゲーム/チャット・ホイールは“声優先⇄環境優先”を素早く切替できるよう、使う場面を決めておく。
マイク品質とSynapse/Razer Audio設定の注意点
まず“物理”が8割
- 向き:カプセル面を自分に正対。
- 距離:口元2〜3cm(頬に当てて指1本ぶん離すのが目安)。
- ポップガード:外さない(破裂音・息ノイズを抑え、ゲートを弱くできる)。
Synapseの最短セットアップ
- 出力割り当て:再生をGame、通話アプリはChat。
- 空間音響:Windows Sonic等はOFF、THXはSynapse側で管理。
- マイク音量:**70〜90%**を起点(大きすぎは床ノイズ増)。
- マイク強化(目安)
- 音量正規化:30〜40%
- ボイスクラリティ:30〜40%
- ノイズ抑制:弱〜中(定常ノイズだけ消す意識)
- ボイスゲート:弱(カチカチ等の微小音だけカット)
- マイクEQ:フラット→低域(〜120Hz)を軽くカット、2〜4kHzをほんの少し持ち上げ。刺さるなら6kHz以上を戻す。
- 側音(モニター):小さめに。喋りすぎ・声量ブレ防止。
Razer Audio(スマホアプリ)の注意
- Bluetooth単独接続で調整(2.4GHz同時は反映しにくいケースあり)。
- 認識不良はファーム更新/再ペアリング/アプリ再起動で解消することが多い。
ありがちな悩み→即対処
- こもる:向きが逆 or 距離が遠い → 正対+2〜3cmへ
- サー音:マイク音量が高すぎ → 80%前後に下げ、ノイズ抑制は弱に
- 打鍵を拾う:ゲート弱+抑制弱、さらにマイク位置を口寄りに微調整
- 通話が小さい:アプリ側入力をChatへ固定、OSのChatデバイス音量を再確認
比較・懸念点・購入判断まとめ
- V3 Proは「低遅延×同時接続×ANC×3.5mm」の全部入り。活用するなら最有力。
- 軽さ・価格優先なら V3 / V3 X。
- マイクは向き・距離・EQの“基礎3点”で化ける—ここを押さえれば失敗しません。
Razer 「BlackShark V3 Pro」を使用した私の体験談・レビュー

箱を開けて最初に驚いたのは、“準備の短さ”でした。
Windows の空間オーディオをオフにして、Synapse で THX と右カップのホイール機能(私は足音ブーストを割り当て)を決め、再生=Game/通話=Chat と入出力を分ける——ここまでが約10分。
以降は、ほぼ本体のボタンとホイールだけで完結します。
初回から“設定に振り回されない”のは、毎日触る道具として大きな安心感でした。
開封〜初期設定で感じたこと
セットアップ直後、ANC(ノイズキャンセリング)を「弱」にした瞬間に周囲の雑音が一枚薄皮を剥いだように静まります。
小さめの音量でも足音や衣擦れが自然に耳へ届くので、無理に音を上げなくても情報が拾える。
右カップのホイールは“今ほしい音を前へ出す”ための物理レバーそのもので、最初の1時間で手が覚えました。
- 最初に決めたことは3つだけ:空間音響OFF/ホイールは足音ブースト/GameとChatの分離。
- 以降はアプリを開く頻度がグッと減り、起動→プレイの導線が短いまま維持できます。
FPSでの実戦:ステレオ基準の強さ
FPSゲームでは、ステレオ+フラットEQを土台に、足音ブーストを“弱〜中”の範囲で使い分けるのが最も安定しました。
常時MAXにするより、交戦の気配がした瞬間に一段だけ上げるほうが、足音の輪郭がスッと立ち、距離感も取りやすい。
味方のコールが重なる場面ではホイールを回して一時的に声>ゲーム音へ寄せ、状況が落ち着けばすぐ元に戻す。
この“瞬間調整”が画面操作なしで済むのは、想像以上に快適です。
設定パターン | ねらい | 体感の変化 |
---|---|---|
ステレオ+足音ブースト弱 | 常用の基準 | 足音/リロードが埋もれにくく、左右の定位が素直 |
ステレオ+足音ブースト中 | 接敵直前〜直後 | 足音の輪郭が強調され、寄り/角待ちの察知が速い |
THX(イマシブ) | 探索/鑑賞重視 | 包囲感・高さは増すが、競技では輪郭がやや丸く感じることも |
結論としては、勝ちに行く時はステレオ基準、世界観を味わう時はTHXという二刀流が気持ちよく切り替わります。
マイクと通話:相手にどう届くか
通話や会議では、カプセルを口元へ正対させて2〜3cm、ポップガードは付けたまま——この“物理の基本”で音の芯が決まります。
ソフト側は、正規化とボイスクラリティを30〜40%に留め、ノイズ抑制は弱〜中、ゲートは弱。過度に処理すると声の抜けが削がれるので、整えすぎないのがコツでした。
打鍵が乗る時は、マイクを口寄りに1cmだけ寄せればスッと収まります。
物理ミュートと側音(自分の声の返り)を少しだけ入れておくと、発声のボリュームが安定して安心です。
2.4GHz+Bluetooth同時接続の“ラクさ”
ゲームは2.4GHz、通話や音楽はスマホのBluetoothを同時にミックス。
着信が来たらホイールを回して声>ゲーム音へ瞬時に配分を変えるだけで、試合も作業も中断しません。
BGMの曲送りや再生停止もヘッドセット側で完了。
“画面を開かないまま済む”小さな時短が積み重なって、日々のストレスが目に見えて減りました。
装着感と疲労:367gとの付き合い方
重量はスペックどおり重めですが、ヘッドバンドと楕円パッドの分散で2時間前後は気になりにくいバランスです。
長丁場では、ANCを弱、音量をひと目盛下げにすると耳の疲労が明らかに軽くなる。
眼鏡と併用する日は、装着の最後に一度上へ持ち上げてからそっと下ろすと、テンプルの圧が逃げて快適でした。
使用後はイヤーパッドをさっと乾拭きするだけで、翌日のコンディションが安定します。
1週間使って残った評価
買って良かった理由は、①ステレオ基準+足音ブースト+物理ホイールで判断が速くなること、②同時接続×長時間バッテリーで生活動線が滑らかになること、③ANC弱で小音量でも細部が拾えること。
一方で、重量は相性が出やすく、THXは没入に強いが競技ではステレオが安心、ソフト認識が不安定な時はBluetooth単独でRazer Audioに繋ぎ直すと解決しやすい——この3点は最初から把握しておくと後悔がありません。
すぐ使える“はじめの3プリセット”
最初は、ここから始めるのがおすすめです。
- 競技FPS:ステレオ/フラット基準、2–4kHzをほんの少し上げ、ホイールは足音ブースト(ANC:OFF〜弱)
- 連携重視の対戦:ステレオ/低域控えめにして味方コールを埋もれにくく、ホイールはゲーム⇄チャット(ANC:OFF)
- 映画・ソロプレイ:THX(イマシブ)/EQフラット、ANCは弱で没入感をプラス
体験談まとめ
このヘッドセットは、“音の情報量を自分で裁く”ための道具です。
ステレオ基準の素直さに、足音ブーストと物理ホイールの即応性、同時接続と長時間駆動の実用性が重なって、プレイも日常も止めずに流せる。
重量と価格はたしかにハードルですが、「1台で全部を回す」という投資の回収は、使い始めの週から実感しやすいはずです。
Razer 「BlackShark V3 Pro」に関するQ&A

Razer 「BlackShark V3 Pro」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
遅延はどのくらい?
第2世代HyperSpeed Wirelessで公称約10ms級。実プレイでも違和感は感じにくいです。
対応機器は?
PC/PS5/PS4/Switchは2.4GHzドングル or USB有線、スマホ/タブレットはBluetooth。3.5mm有線も利用可。
どの接続が最適?
競技ゲームは2.4GHz、スマホ用途はBluetooth、安定録音やレイテンシ重視はUSB、機材直結は3.5mm。
バッテリーはどれくらい?急速充電は?
最大約70時間。約15分の充電で約6時間再生のクイック充電に対応。
重さ(約367g)は気になる?対策は?
人によっては長時間で疲れやすいです。ANCは弱、音量をひと目盛下げる、小休止で負担を軽減。
足音は本当に聞き取りやすくなる?
ステレオ基準+足音ブースト弱〜中が定番。常時MAXより、接敵前後だけ一段上げる運用が安定。
THX Spatial Audioは使うべき?
映画・ソロの没入に最適。競技FPSはステレオのほうが輪郭が立ちやすいことが多いです。
ゲーム音とチャット音のバランス調整は?
右カップのホイールにゲーム/チャットを割り当てれば回すだけで配分変更できます。
2.4GHz+Bluetoothの同時接続は何が便利?
ゲーム音を聴きながらスマホ通話やBGMをミックス可能。着信時はホイールで声>ゲーム音へ即シフト。
イヤーパッドは外せる?交換できる?
取り外し可能(手順に沿って慎重に)。交換用の流通は時期依存のため、公式・サードパーティの在庫を要確認。
V3 Pro / V3 / V3 X / V2 Proの選び分けは?
V3 Pro=同時接続・ANC・3.5mm・足音ホイール等“全部入り”。V3=軽さと価格のバランス。V3 X=入門〜中級。V2 Pro=最新機能不要なら価格次第で有力。
Razer 「BlackShark V3 Pro」レビューのまとめ

Razer 「BlackShark V3 Pro」は、低遅延(第2世代HyperSpeed)×高解像ドライバー×ANC×同時接続×物理ダイヤルという“全部入り”を、実用の導線に落とし込んだ旗艦ヘッドセットです。
競技ではステレオ基準の素直さと足音ブースト、日常では2.4GHz+Bluetooth同時や長時間バッテリーが効き、1台で“勝ち筋”と“便利さ”を両立できます。
重さと価格はハードルですが、活かせる人には費用対効果が高い—これが総評です。
要点サマリー
強み
- 約10ms級の低遅延無線で違和感が少ない
- TriForceバイオセルロース50mmの分離・解像感
- **ANC(弱運用)**で小音量でも細部が拾える
- 2.4GHz+Bluetooth同時接続:通話/BGMをゲームとミックス
- ゲーム⇄チャット比率/足音ブーストを物理ダイヤルで即調整
- 最大70時間+15分急速で充電ストレス小
留意点
- 約367gと重め(運用と装着コツで緩和)
- THXは没入向き、競技はステレオ基準が安定
- ソフト認識が不安定な環境ではBT単独で再接続/再設定が必要なことも
こんな人に刺さる/他モデルが良い人
あなたの優先 | 選びやすい結論 |
---|---|
通話・BGMを“ながら”で混在/配信・会議も一本化 | V3 Pro(同時接続・ANC・ダイヤルが生きる) |
軽さ・価格・シンプルさ重視 | V3 / V3 X(約270g・必要十分) |
最新機能は不要、完成度と価格のバランス | V2 Pro(相場次第で“旧旗艦”が狙い目) |
買う前の最終チェックリスト
- 重量:2時間以上の連続装着が多い?→試着or返品条件を確認
- 用途:ゲーム+通話/BGMの同時使用をする?→するならV3 Proの価値大
- 環境:Windows 11(23H2)でTHXを使う?→空間音響はWindows側をOFFで運用
- マイク用途:会議・配信が多い?→正対2〜3cm運用ができるスペース/習慣があるか
- 接続:3.5mm・USB有線も使う?→V3 Proは四方式対応で安心
スタート設定(そのまま使える3プリセット)
- 競技FPS:ステレオ/EQフラット基準(2–4kHzほんの少し上げ)/ホイール=足音ブースト/ANC:OFF〜弱
- 連携重視の対戦:ステレオ/低域控えめ/ホイール=ゲーム⇄チャット/ANC:OFF
- 映画・ソロ:THX(イマシブ)/EQフラット/ANC:弱
まずは切り替えだけで運用し、慣れたら帯域を“少しだけ”動かすと迷いません。
つまずき→即解決(覚えておくと安心)
- THXが効かない:Windowsの空間音響がON→OFFにし、THXはSynapseで管理
- 声がこもる:マイクの向きが逆/距離が遠い→正対+2〜3cmへ
- サー音が増える:マイク音量を80%前後へ下げ、ノイズ抑制は弱
- 打鍵を拾う:ゲート弱+ノイズ抑制弱、マイクを1cm口寄りに
- スマホアプリが認識しない:Bluetooth単独で接続→再ペアリング/ファーム更新
Razer 「BlackShark V3 Pro」レビューの総括
総じて、Razer 「BlackShark V3 Pro」は“勝つためのステレオ”と“日常を止めない便利さ”を一台に凝縮した旗艦機だと感じました。
第2世代HyperSpeedによる低遅延とTriForceバイオセルロース50mmが描く分離感は、足音やリロードの輪郭を自然に立ち上げ、物理ホイールで足音ブーストやゲーム/チャットの比率を即座に切り替えられる操作性が実戦の迷いを減らします。
弱めのANCと70時間クラスのバッテリー、2.4GHzとBluetoothの同時接続は、通話・BGM・通知をゲームと無理なく共存させ、配信や会議まで含めた日々の導線を滑らかにしてくれます。
いっぽうで367gの重量と価格は確かにハードルで、没入重視のTHXは鑑賞では光るものの競技ではステレオ基準が安心、ソフトの認識周りは環境次第で一手間求められることもあります。
それでも“一本で全部回す”という価値が刺さるユーザーにとって、導入初週から時間と判断のコストを確実に回収できる完成度です。
もしあなたが、音の情報量を自分の手でコントロールしながら、ゲームも仕事も中断せずに走り切りたいなら、Razer 「BlackShark V3 Pro」は長く主力の席を譲らないはずです。
——次の一戦は、この一台で。

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