この記事は2023年に公開された内容です
2023年、ゲーミングデバイスの大手ブランドRazerから初のインイヤーモニター(IEM)「Moray」が登場しました。
これまでRazerは「Hammerhead」シリーズをはじめとするゲーミングイヤホンを多数展開していましたが、本格的なIEMとしての参入は今回が初となります。
従来のゲーミングイヤホンは、ゲーム音声を強調したチューニングや、LEDライティングなどのデザイン性が特徴でした。
しかし、「Moray」は「音を忠実に再現する」ことを目的としたプロ仕様のIEMとして設計されており、ゲーム用途はもちろん、音楽鑑賞や動画制作などにも適した製品として注目されています。
この製品の登場は、「ゲーミングイヤホン」と「オーディオ向けIEM」の境界を曖昧にする試みとも言えます。
果たしてRazer 「Moray」は、ゲーミングデバイス市場に新たなスタンダードを築くことができるのでしょうか?
この記事では、デザイン・付属品・音質・ゲームプレイでの使用感・コストパフォーマンスといった観点から徹底レビューしていきます。

Razer 「Moray」とは?

Razer 「Moray」は、ゲーミングデバイスの名門「Razer」が初めてリリースしたインイヤーモニター(IEM)です。
従来のゲーミングイヤホンとは異なり、より正確でバランスの取れた音を再現することを目的に設計されており、ゲーミングだけでなく音楽鑑賞や映像制作にも適している点が大きな特徴です。
Razer初のインイヤーモニター(IEM)としての特徴
「Moray」は、一般的なゲーミングイヤホンとは一線を画し、本格的なIEM(インイヤーモニター)として設計されています。
主な特徴は以下の通りです。
- ハイブリッドドライバー構成(1BA + 1DD)
- ダイナミックドライバー(DD)とバランスド・アーマチュア(BA)ドライバーの組み合わせにより、低音の迫力と中高音の解像度を両立。
- ただし、他のIEMと比較すると中高音のクリアさに課題があるという評価もあり、ゲーミング向けの音作りとしての最適化がされている可能性がある。
- MMCXコネクターを採用したリケーブル対応
- ケーブルは着脱可能なMMCX仕様で、リケーブルに対応。
- 付属のケーブルはしなやかでタッチノイズも少ないため、取り回しが良い。
- 高い遮音性と快適な装着感
- イヤーチップはシリコン製とフォーム製の両方が付属し、耳にしっかりフィットする設計。
- 遮音性が高く、ノイズキャンセリング機能はないものの、周囲の音を物理的にシャットアウトできる。
- 「長時間使用でも疲れにくいチューニング」が施されている。
既存のゲーミングイヤホンとの違い
「Moray」は、これまでのRazer製ゲーミングイヤホン(例:Hammerheadシリーズ)と比べ、大きく異なるコンセプトで開発されています。
比較項目 | Razer Moray | Razer Hammerheadシリーズ |
---|---|---|
音の傾向 | ナチュラル・バランス型 | 低音強調型・派手なサウンド |
用途 | 音楽・映像制作・ゲーム | ゲーム特化 |
ドライバー | 1BA + 1DD(ハイブリッド) | ダイナミックドライバー |
LEDライティング | なし | あり(モデルによる) |
マイク | なし | あり |
接続方式 | 有線(MMCXリケーブル対応) | 有線/無線(TWSモデルもあり) |
このように、「Moray」はゲーミング用途だけでなく、音楽や動画視聴にも使えるIEMとしての設計になっているのが特徴です。
その分、ゲーミング向けイヤホンとしての低音の強調やバーチャルサラウンドといった要素は控えめになっています。
想定されるターゲットユーザー
「Moray」は、以下のようなユーザーに向けた製品と言えます。
- 長時間ゲームをプレイするストリーマー・配信者
- 軽量で装着感が良いため、長時間のゲームプレイでも疲れにくい
- 遮音性が高く、周囲の雑音をカットできる
- 高音質を求めるゲーマー
- FPSなどの競技シーンよりも、RPGやシングルプレイの没入感を重視するゲーマー向け
- 「ゲーミングイヤホン」よりもナチュラルな音質で音楽や動画も楽しめる
- オーディオ用途でも使いたい人
- ゲームだけでなく、音楽鑑賞や映画視聴にも適したIEM
- ハイブリッドドライバーによる幅広いジャンルの音楽再生に対応
一方で、以下のようなユーザーには向かない可能性があります。
- FPSやバトロワ特化のゲーマー
- 低音強調型ではないため、足音の聞き取りに特化したイヤホンではない
- 音の距離感や定位感が、FPS向けヘッドセットほど明確ではない
- コスパ重視のイヤホン選びをする人
- 価格が2万円超えと比較的高価であり、同価格帯の他IEMと比べると解像感が物足りないという声もある
- 中華IEM市場と比較すると、コストパフォーマンスで劣る部分がある
Razer 「Moray」は、RazerのIEM市場への本格参入を示す第一歩であり、ゲーミングデバイスメーカーとしては異色のアプローチを取ったイヤホンです。
ただし、そのコンセプトゆえに、従来のRazerファンの期待とは異なる部分もあるかもしれません。
Razer 「Moray」のデザインと付属品

Razer 「Moray」は、Razerのゲーミングデバイスらしいデザイン要素を持ちつつも、これまでの「ゲーミングイヤホン」とは一線を画したシンプルな見た目が特徴です。
従来のRazer製品に見られるRGBライティングや派手なグリーンカラーは一切なく、プロフェッショナルなオーディオデバイスとしての落ち着いたデザインになっています。
シンプルなブラックデザインの本体
「Moray」のデザインは、完全にブラック基調で統一されており、ゲーミング製品としては驚くほど控えめな仕上がりになっています。
- 光沢のあるプラスチック素材を使用
- 一見すると金属的な質感にも見えるが、実際にはプラスチック製
- 触ると若干指紋が目立ちやすいため、使用後の拭き取りが推奨される
- シンプルな形状とコンパクトな筐体
- ゲーミングイヤホンにありがちなゴツゴツしたデザインではなく、耳にすっぽり収まるスリムなデザイン
- ロゴも目立たないため、ゲーマー以外でも使いやすい
- LEDライティングなし
- Razerといえば派手なLEDが特徴だが、「Moray」にはライティング要素が一切ない
- あくまでプロフェッショナル向けのIEMとして設計されていることが分かる
全体的に、洗練されたシンプルなデザインであり、「ゲーミングデバイスらしさ」を求める人にとってはやや物足りなく感じるかもしれません。
一方で、オーディオファンやビジネスシーンでの使用を考えると、派手すぎないデザインはメリットとなるでしょう。
充実したイヤーチップと専用ポーチ
「Moray」には、カスタマイズ性を高めるための豊富なアクセサリーが付属しています。
イヤーチップの種類と特徴
付属のイヤーチップは、シリコン製とメモリーフォーム製の2種類があり、それぞれS・M・Lのサイズが用意されています。
合計6種類のイヤーチップが付属しており、ユーザーが自分の耳に最適なフィット感を見つけられるようになっています。
- シリコン製イヤーチップ(S/M/L)
- 柔軟性があり、長時間の装着でも圧迫感が少ない
- 適度な遮音性を確保しつつ、音の抜けが良い
- メモリーフォーム製イヤーチップ(S/M/L)
- 遮音性に優れており、外部ノイズを大幅にカット
- 低音を強調しやすいが、装着時にやや圧迫感を感じることも
イヤーチップは、音質に大きく影響する要素の一つです。
例えば、低音を強調したいならメモリーフォーム製、クリアな音を求めるならシリコン製を選ぶなど、用途によって交換することができます。
専用ポーチの質感と使い勝手
「Moray」には、専用のキャリングポーチも付属しています。
- 防滴仕様のハードケースタイプ
- 外装はしっかりとしたハードシェルで、衝撃や水滴からイヤホンを保護
- ファスナー付きで、開閉もスムーズ
- 内部に収納ポケットあり
- イヤーチップや小物を収納できる仕切り付き
- イヤホン以外の小型アクセサリー(USB-C変換アダプターなど)も収納可能
特にイヤホンを持ち運ぶ機会が多い人にとって、付属のポーチは重要なポイントになります。
「Moray」のポーチは、質感も高く、しっかりとした作りになっているため、日常的な持ち運びにも適しています。
ケーブルの質感とMMCXリケーブル対応
「Moray」のケーブルは、着脱可能なMMCXコネクターを採用しており、リケーブルが可能です。
ケーブルの特徴
- 柔軟性があり、絡まりにくい
- ケーブルはしなやかでタッチノイズが少ないため、移動時やゲームプレイ中でもストレスを感じにくい
- ただし、やや「クセ」が付きやすく、一度巻きグセがつくとなかなか取れにくい
- ケーブル分岐部の工夫
- 左右のケーブルが合流する部分に長さ調整用のパーツがついており、ケーブルのバタつきを抑えることが可能
- 「首元でケーブルが絡まる」というIEM特有の問題を軽減する設計
MMCXコネクターによるリケーブル対応
「Moray」は、一般的なMMCX規格のコネクターを採用しているため、市販の高品質なケーブルと交換することが可能です。
- リケーブルすることで音質をカスタマイズできる
- 付属のケーブルも悪くないが、より高音質な銀メッキケーブルなどに交換することで、解像度を向上させることができる
- バランス接続対応のケーブルに交換することで、さらに広い音場やクリアな音質を楽しむことが可能
- 耐久性の向上にも貢献
- MMCXコネクターは脱着可能なため、断線した際にケーブルだけを交換できる
- 長期間使用することを考えると、リケーブル対応は大きなメリット
ただし、MMCXコネクターは着脱時に固く感じることがあるため、頻繁にケーブルを交換する予定の人は注意が必要です。
デザインと付属品まとめ
「Moray」のデザインと付属品には、ゲーミングデバイスとしての実用性とIEMとしての本格仕様が両立されています。
✅ 良い点
- シンプルで高級感のあるデザイン(LEDなしのブラック基調)
- シリコン・メモリーフォームの2種類のイヤーチップが付属し、フィット感を調整可能
- 防滴仕様の専用ポーチ付きで持ち運びが便利
- MMCXリケーブル対応でカスタマイズの自由度が高い
❌ 気になる点
- 本体の光沢仕上げは指紋が付きやすい
- ケーブルにクセが付きやすい
- 価格の割に高級感はやや控えめ(プラスチック感がある)
デザインに関しては「派手なRazerらしさ」は抑えられており、オーディオ機器としての落ち着いた仕上がりになっています。
ゲーミングデバイス特有の派手な見た目を求める人には物足りないかもしれませんが、普段使いしやすい点は大きなメリットです。
Razer 「Moray」の装着感と快適性

Razer 「Moray」は、長時間のゲームプレイや音楽鑑賞を想定して設計されており、装着感と快適性に重点を置いたデザインになっています。
特に、イヤーモニター(IEM)としてのフィット感の高さと、軽量な設計による疲れにくさが特徴です。
耳へのフィット感と遮音性
「Moray」は、IEMらしい耳への密着感を重視したデザインが採用されており、しっかりと耳にフィットする構造になっています。
◎ 優れたフィット感
- 耳の形状に合わせたカーブ設計
- イヤホンの筐体は耳の奥にしっかり収まる形状になっており、外れにくく、長時間使用しても負担が少ない
- 「耳の中にすっぽり収まる」ため、イヤホンの重みをほとんど感じない
- 豊富なイヤーチップがフィット感を向上
- シリコン製(S/M/L)とメモリーフォーム製(S/M/L)の2種類が付属しており、自分に合ったものを選べる
- メモリーフォーム製のイヤーチップは、耳の形状に沿って変形し、さらに密着感を高めるため、フィット感にこだわる人に最適
◎ 遮音性の高さ
- ノイズキャンセリング機能は非搭載だが、パッシブノイズアイソレーションが強力
- メモリーフォームのイヤーチップを使用すると、周囲のノイズを大幅にカットできる
- 特に電車やカフェなどの環境では、イヤホンを装着するだけでかなりの雑音が軽減される
- ゲーミングヘッドセットとは異なる遮音性能
- 一般的なゲーミングヘッドセットのような密閉型のパッドによる物理的な遮音とは異なり、耳に密着することで外音を遮る方式
- 音楽やゲームの音だけに集中できる環境を作りやすい
ただし、イヤーチップの種類によって遮音性が異なるため、場面に応じて使い分けるのが理想的です。
メモリーフォームチップは遮音性が高いが、圧迫感が強いため、長時間の使用にはシリコン製のほうが快適かもしれません。
長時間使用時の疲労感の少なさ
「Moray」は、長時間の使用でも快適で疲れにくい設計が施されています。
◎ 軽量設計による負担の軽減
- 本体が軽量(約22g)で、長時間装着しても重さを感じにくい
- 一般的なゲーミングヘッドセット(300g以上)と比べると圧倒的に軽く、首や頭に負担がかからない
- イヤホンタイプなので、長時間のプレイでも蒸れにくい
- 耳の形にフィットするデザイン
- 耳全体でイヤホンを支える形状になっているため、特定の部位に負担がかからない
- イヤーチップの選択次第でさらに快適性を向上できる
◎ 「聞き疲れ」を抑えた音作り
- 高音域を控えめに調整し、耳に負担がかからないサウンド設計
- 公式の仕様にも「高音を減衰させて快適なリスニング体験を提供」と明記されており、刺激の強い音を抑えている
- そのため、長時間の使用でも耳が疲れにくい
- 音のバランスがフラットで、長時間でも聴きやすい
- 一部のゲーミングイヤホンのように「低音が強調されすぎて耳が疲れる」ということがない
- 音楽鑑賞にも適した自然な音作り
ただし、高音域の減衰が音の明瞭さを損ねる可能性もあるため、「クリアでシャープな音」を求めるユーザーには物足りなく感じるかもしれません。
ゲームプレイ時の快適性
「Moray」は、ゲーマー向けの快適性にも配慮されており、特に長時間のプレイに適した設計になっています。
◎ 長時間のプレイでもストレスを感じにくい
- 頭を動かしてもズレにくい
- IEMとしての設計がしっかりしているため、激しい動きでも外れにくい
- FPSやバトロワ系のゲームで激しく動いても、しっかりフィットしたままプレイできる
- タッチノイズが少ない
- ケーブルは柔らかく、衣服に触れた際のタッチノイズ(こすれる音)が最小限に抑えられている
- FPSのような繊細な音を聞き分けるゲームでも、ノイズが邪魔にならず快適
◎ 足音やゲーム音の聞こえ方
- 遮音性が高いため、ゲーム音に集中できる
- 外部の音を遮ることで、ゲームの細かい音を拾いやすい
- 例えばFPSでの遠くの足音や、環境音の細かい変化も聞き取りやすい
- ゲーミングヘッドセットとの違い
- 密閉型のゲーミングヘッドセットと違い、音の「距離感」を把握するのは少し難しい
- 奥行きのある音場表現よりも、全体のバランスを重視したサウンドチューニング
ただし、ゲーム特化のイヤホンではないため、FPS向けの「足音特化チューニング」ではない点には注意が必要です。
例えば、バトルロイヤルゲームでの敵の足音をより明確にしたい場合、EQ調整やアンプを使った補正が推奨されます。
装着感と快適性まとめ
Razer 「Moray」の装着感と快適性についてまとめると、次のようになります。
✅ 良い点
- 耳にしっかりフィットし、ズレにくいデザイン
- イヤーチップの種類が豊富で、自分に合ったものを選べる
- 軽量で長時間使用しても疲れにくい
- 遮音性が高く、ゲームや音楽に没入できる
- 高音を抑えたチューニングで、聞き疲れしにくい
❌ 気になる点
- メモリーフォームイヤーチップは圧迫感があるため、慣れが必要
- 高音域の減衰により、音の明瞭さがやや不足することがある
- FPSなどで音の定位を意識するなら、EQ調整が必要になる場合も
長時間のゲームプレイや作業に適した快適な装着感を持つ一方、FPS向けのチューニングではないため、用途によってはEQ調整が必要になるかもしれません。
Razer 「Moray」の音質の評価

Razer 「Moray」の音質は、従来のゲーミングイヤホンとは異なり、フラットでナチュラルなサウンドを重視したIEM(インイヤーモニター)寄りのチューニングになっています。
特に、長時間のリスニングに適した聞き疲れのしにくいサウンド設計が特徴です。
しかし、その一方で、音の解像度や定位感、迫力については賛否が分かれる部分もあります。
高域・中域・低域のバランス
「Moray」の音のバランスは、ゲーミング向けイヤホンのような派手なV字型(低音と高音が強調されたサウンド)ではなく、全体的にフラットなチューニングになっています。
◎ 高域(Treble):控えめで耳に優しいが、クリアさに欠ける
- Razer公式のスペックにも「高域を減衰させるチューニング」と記載がある通り、意図的にシャープな高音を抑えている
- そのため、長時間の使用でも耳が疲れにくいが、シンバル音やボーカルの抜け感が物足りないと感じることも
- 細かいディテールが必要な楽曲(クラシックやジャズ)では、音の輪郭がぼやけてしまう傾向がある
◎ 中域(Mid):落ち着いた音色だが、ボーカルの明瞭さがやや不足
- ナチュラルな中域で、ボーカルやセリフは聞き取りやすい
- ただし、ボーカルが埋もれやすく、一部の楽曲では少し平坦に感じることがある
- 楽器の音(ギターやピアノなど)は自然に聞こえるが、よりクリアな音を求める場合はEQ調整が必要
◎ 低域(Bass):適度な厚みはあるが、迫力は控えめ
- 低音は強調されておらず、量感よりもバランスを重視したチューニング
- ゲーミングイヤホンにありがちな「ドンシャリサウンド」とは異なり、過度な重低音のブーストはなし
- EDMやヒップホップのような低音重視の楽曲を聴く場合、「もう少し迫力が欲しい」と感じることも
🔹 総評:長時間聴きやすいが、音の抜けや迫力は控えめ
- フラットで落ち着いた音質設計
- 高音の刺激が少なく、長時間リスニング向き
- 一方で、解像感やシャープさが不足し、メリハリのある音を求める人には物足りない
音の分離感と解像度
音の解像度(音の細かさやクリアさ)、音の分離感(各楽器や音がどれだけ明確に聞こえるか)は、価格帯を考慮するとやや控えめです。
◎ 音の解像度
- 競合のIEM(と比較すると、細かい音の描写がやや不足
- 特に、BA(バランスド・アーマチュア)ドライバーがあるにも関わらず、高域の解像感が物足りないと感じることがある
- 音楽や動画視聴には問題ないが、音の細かさを求めるオーディオファンには不向き
◎ 音の分離感
- 一音一音の輪郭が少しぼやける
- FPSなどのゲームで、複数の音が重なった際に、敵の足音や銃声が埋もれやすい
- 「低音・中音・高音」のバランスは整っているものの、音の距離感がはっきりせず、奥行きのあるサウンドとは言えない
🔹 総評:音の分離感と解像度は平均レベル
- 解像度は「悪くはない」が、特別優れているわけでもない
- 音の分離がやや甘いため、FPSのように音の位置を正確に把握したい用途には不向き
ゲーム向けのサウンドチューニングの特徴
「Moray」はゲーミング向けの製品ではあるものの、FPS特化型のサウンドチューニングはされていないため、足音や敵の位置把握を重視するプレイヤーには微妙な部分もあります。
◎ FPSやバトロワゲームでの使用感
- 遮音性が高いため、ゲーム音に集中しやすい
- ただし、音の定位(音の方向や距離感)が分かりづらい
- Apex LegendsやValorantなどのゲームでは、遠くの足音が聞こえにくいと感じることがある
◎ RPG・アクションゲームとの相性
- 低音が過度に強調されていないため、ゲーム内の環境音が自然に聞こえる
- ゼルダの伝説やホライゾンのような広がりのあるBGMを楽しむゲームには適している
- ゲーミングヘッドセットのような「迫力あるサウンド」ではないが、長時間のプレイでも疲れにくい
🔹 総評:ゲーム向けの音作りではあるが、FPS向けではない
- 足音や定位感を重視するなら、EQ補正やアンプの使用が必要
- RPGやストーリーベースのゲームには適しているが、競技向けFPSプレイヤーには不向き
音質の評価まとめ
「Moray」の音質について、メリット・デメリットを整理すると以下のようになります。
✅ 良い点
- ナチュラルでフラットなサウンド
- 長時間使用しても耳が疲れにくい(高音を抑えたチューニング)
- 遮音性が高く、ゲームや音楽に没入しやすい
- RPGや映画鑑賞向けの音作り
❌ 気になる点
- 音の解像度や分離感が価格帯の割にやや控えめ
- FPS向けの足音特化チューニングではない(定位感がぼやけがち)
- 低音の迫力が不足気味で、ドンシャリ系の音を求める人には物足りない
- 高音域の抜けが悪く、ボーカルや楽器の明瞭さがやや不足
Razer 「Moray」は、ゲーミングヘッドセットとは異なる「バランスの取れたIEMサウンド」を提供する製品です。
ただし、ゲーム向けとして考えた場合、FPS特化のチューニングではないため、プレイヤーの求める音の傾向によって評価が分かれるでしょう。
Razer 「Moray」を使用した私の体験談・レビュー

Razer 「Moray」を実際に使ってみた感想を、開封から装着感、ゲームプレイ、音楽鑑賞、長時間使用時の快適性などの観点から詳しく紹介します。
実際の使用感を知りたい人の参考になればと思います。
開封時の第一印象
「Moray」を開封した際の最初の印象は、「思ったよりもシンプル」でした。
Razerの製品は派手なRGBライティングや特徴的なグリーンのデザインが多いですが、「Moray」はブラック基調のシンプルなデザインで、いかにもプロ向けのIEMという雰囲気でした。
- パッケージ内容の充実度
- イヤーチップがシリコン製(S/M/L)とメモリーフォーム製(S/M/L)の2種類付属しており、カスタマイズ性が高いのは嬉しいポイント。
- 付属の専用ポーチはしっかりとしたハードケースで、防滴仕様になっており、高級感がある。
- リケーブル対応のMMCXコネクターを採用している点も好印象。
ただし、本体の質感はプラスチック製で光沢があるため、指紋が目立ちやすいのは少し気になりました。
装着感と遮音性
次に、実際に耳に装着してみました。
- イヤホンの筐体が小型で、耳の奥までしっかりフィットするため、安定感が高く、外れにくい。
- メモリーフォームのイヤーチップを装着すると、周囲の雑音をかなり遮断できるため、ノイズキャンセリング機能はなくても十分な遮音性を感じた。
- 軽量な作りなので、長時間着けていても耳が痛くなりにくいのは大きなメリット。
ただし、メモリーフォームのイヤーチップは圧迫感があるため、長時間使用すると若干の違和感を感じることもありました。
そのため、長時間使用する際はシリコン製のイヤーチップに変更すると、より快適に使えました。
ゲームプレイでの体験
実際にゲームプレイで使用し、いくつかのジャンルでの感想をまとめました。
FPS
- 遮音性が高いため、ゲームの音に集中しやすい。
- 近距離の足音は問題なく聞こえるが、遠距離の足音の定位感や方向感がやや曖昧。
- 銃声や爆発音の迫力は十分あるが、特定の周波数が強調されることはなく、足音特化のイヤホンではないと感じた。
→ 結論:FPS向けのイヤホンではない。音の定位感を重視するなら、EQ補正やアンプを使うべき。
RPG・オープンワールドゲーム
- 環境音の表現が豊かで、風の音や水の流れる音などの細かい音が心地よく聞こえる。
- BGMが自然に響くため、ゲームの世界観に没入しやすい。
- 低音が過度に強調されていないため、長時間のプレイでも耳が疲れにくい。
→ 結論:RPGやシングルプレイのゲームには適しており、BGMや環境音を楽しむのに最適。
音楽鑑賞での体験
音楽鑑賞でも試してみたが、バランスの取れた音作りで、特定の音域を強調しすぎないチューニングになっていた。
- ボーカルがクリアに聞こえるが、特別な抜け感はない。
- 高音域がやや抑えられているため、シンバルや弦楽器のキラキラした音が控えめ。
- 低音は締まりがあり、重すぎないが、EDMやロックのような迫力のある楽曲には少し物足りなさを感じた。
→ 結論:リスニング向けのチューニングではあるが、解像度の高さを求めるオーディオファンにはやや物足りない。
長時間使用時の快適性
1日中使用してみたが、耳が痛くなったり、疲れを感じることはほぼなかった。
- 軽量な作りと優れたフィット感のおかげで、長時間つけていても快適。
- 高音域が抑えられているため、聞き疲れしにくい。
- 遮音性が高いので、音量を上げすぎなくても十分な音圧を感じられる。
ただし、メモリーフォームのイヤーチップを長時間使用すると、耳の圧迫感が気になってくるため、長時間使用する場合はシリコン製のイヤーチップに交換することをおすすめします。
総評
✅ 良い点
- 軽量で長時間使用しても疲れにくい
- フィット感がよく、遮音性が高い
- BGMや環境音の再現性が高く、RPGや映画鑑賞に最適
- リケーブル対応で音質のカスタマイズが可能
❌ 気になる点
- FPS向けの足音特化イヤホンではない(定位感がやや曖昧)
- 低音の迫力が控えめで、EDMやロックには物足りない
- 日本価格は割高で、海外価格との差が気になる
- 解像度の高さを求めると、やや物足りない
Razer 「Moray」に関するQ&A

Razer 「Moray」に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「Moray」はどんな人におすすめ?
✅ おすすめのユーザー
- 長時間のゲームプレイを快適にしたい人(軽量で疲れにくい)
- RPGやシングルプレイのゲームを楽しみたい人(BGMや環境音が自然に聞こえる)
- 映画や音楽鑑賞をする機会が多い人(ナチュラルな音作り)
- Razerブランドが好きで、ゲーミング環境を統一したい人
- リケーブル対応のIEMを探している人
❌ おすすめできないユーザー
- FPS向けに足音特化のイヤホンを探している人(定位感がやや甘い)
- 低音の迫力を求める人(EDMやロックなどの迫力不足)
- 2万円以上のIEMとして、高解像度な音質を求める人(競合製品の方が優れている場合あり)
「Moray」はゲーミングイヤホンとしてどうですか?
ゲーミングイヤホンというより、「ゲーミングにも使えるIEM」という位置づけ。
- Razerの「Hammerhead」シリーズのようなゲーミング特化のイヤホンではなく、バランスの取れた音質を持つIEM。
- FPS特化ではなく、長時間快適に使えることを重視している。
- そのため、ゲーミングイヤホンのような低音ブーストや足音特化のチューニングはされていない。
「Moray」とゲーミングヘッドセットの違いは?
項目 | Razer Moray(IEM) | ゲーミングヘッドセット |
---|---|---|
装着感 | 軽量で快適 | 頭を圧迫しやすい |
遮音性 | 高い(イヤーチップで調整可) | 物理的な密閉型が多い |
定位感 | そこそこ | サラウンド対応なら優秀 |
低音 | バランス型 | 迫力のあるチューニングが多い |
マイク | なし | 付属(ノイズキャンセリング対応もあり) |
音楽鑑賞 | 〇(リスニング向き) | △(音楽用には向かない) |
→ ゲーム以外にも音楽や映画を楽しむならRazer 「Moray」、ゲームに完全特化するならゲーミングヘッドセットが適している。
「Moray」の音質はどんな特徴がある?
- フラットで自然な音質(高音や低音を強調しすぎていない)
- 長時間聞いても疲れにくいチューニング
- 高音は抑えめで、ボーカルや楽器の音が落ち着いて聴こえる
- 低音はそこそこ出るが、迫力重視ではない
→ ゲームのBGMや環境音を楽しむのに向いているが、EDMやロックのような低音が欲しい人には物足りないかも。
FPSゲームで足音は聞きやすい?
- 遮音性が高いため、ゲーム音に集中しやすい
- 近距離の足音は聞こえやすいが、遠距離の音の定位感はやや弱い
- ゲーミングヘッドセットほど明確な音の方向感はない
- EQ調整や外部アンプを使うことで、足音の聞こえ方を改善できる
→ FPS特化のイヤホンではないので、足音にこだわるなら他の選択肢も検討すべき。
イヤーチップを交換すると音は変わる?
イヤーチップを変えることで、音の印象が大きく変わる。
- メモリーフォームイヤーチップ
- 遮音性が高く、低音が強調される
- 圧迫感があるため、長時間使用には向かないことも
- シリコンイヤーチップ
- クリアな音が得られ、音の分離感が向上する
- 長時間の使用でも疲れにくい
→ FPSプレイヤーはシリコンチップ、音楽を楽しむならフォームチップがおすすめ。
Razer 「Moray」レビューのまとめ

Razer 「Moray」は、Razerが初めてリリースしたインイヤーモニター(IEM)であり、ゲーミング用途にも使えるバランスの取れた音質と、長時間快適に使用できる設計が特徴です。
しかし、価格や音質の傾向、競合製品との比較を考慮すると、一部のユーザーにとっては「コスパが悪い」「ゲーミング特化ではない」という印象を受けるかもしれません。
この記事では、デザイン・装着感・音質・ゲームでの使用感など、多角的に検証しました。
その結果、Razer 「Moray」は次のような評価ができます。
Razer 「Moray」の総評
✅ 良い点
- 軽量で長時間の装着でも疲れにくい
- 耳にフィットするデザインと適度な遮音性
- 軽量で圧迫感が少ないため、長時間のゲームや作業に最適
- 遮音性が高く、ゲームや音楽に没入しやすい
- メモリーフォームイヤーチップ使用時は外部の音をしっかり遮断
- カフェや移動中でも集中しやすい
- リケーブル対応(MMCX)でカスタマイズ性が高い
- 市販の高品質ケーブルと交換でき、音質向上の可能性あり
- バランスの取れた音作り
- 高音・低音を過度に強調しない自然なサウンド
- BGMや環境音を楽しみたい人に適している
- RPGやシングルプレイゲームに最適
- BGMの広がりや細かい音の描写が楽しめる
- ゼルダの伝説、ホライゾン、FFなどのストーリー重視のゲーム向け
❌ 気になる点
- FPS向けの足音特化チューニングではない
- 遠距離の足音や方向感の定位がやや甘い
- FPSをガチでプレイする人には不向き
- 低音の迫力が不足
- 低音ブーストがなく、EDMやロックには物足りない
- 低音の厚みを求めるなら他のIEMを検討したほうが良い
- 高音域の抜けが弱く、解像度がやや低め
- ボーカルや楽器の明瞭さが一部の競合製品に劣る
- 競合IEMと比較すると音の輪郭がぼやける
- 日本価格が割高
- 海外価格なら納得できるが、日本での定価購入は高すぎる
- 中華IEM市場の製品と比べると、コストパフォーマンスで負ける
- ゲーミング向けマイクがない
- 通話やボイスチャット用途には向かない
- ボイスチャットを多用するなら、マイク付きのゲーミングヘッドセットが必要
Razer 「Moray」を選ぶべき人
✅ こんな人にはおすすめ
- 長時間のゲームプレイや作業でも快適に使いたい
- ゲーム・映画・音楽を1台で楽しみたい
- Razerのブランドが好きで、統一感のあるゲーミング環境を作りたい
- バランスの取れた自然な音質を好む
- リケーブル対応のIEMが欲しい
- FPSよりもRPGやシングルプレイゲームを楽しむことが多い
❌ こんな人には向かない
- FPSで足音を特化して聞きたい(定位感が少し弱い)
- 迫力のある低音を求める(EDMやロックには物足りない)
- 高音の抜けや解像度を最優先する(より優れたIEMが同価格帯に多数)
- コスパ重視でイヤホンを選びたい(日本価格が割高)
- ボイスチャットや通話用途で使いたい(マイク非搭載)
「Moray」の購入を検討する際のポイント
- 装着感や快適性を優先するなら、優れた選択肢
- ゲーミング用途だけでなく、音楽や映画鑑賞にも使いたい人向け
- FPS向けのイヤホンではないので、競技用には向かない
- リケーブル対応で音質をカスタマイズできるのは大きなメリット
総合的な評価
項目 | 評価 |
---|---|
音質 | バランス型だが、解像度はやや低め |
装着感 | 軽量で快適 |
遮音性 | メモリーフォームイヤーチップで優秀 |
FPS適性 | 音の定位感は微妙 |
価格 | 日本価格は割高 |
コスパ | 競合製品と比較すると微妙 |
Razer 「Moray」レビューの総括
Razer 「Moray」は、ゲーミングデバイスで知られるRazerが初めて手掛けたインイヤーモニターとして、長時間の快適な装着感とバランスの取れたサウンドを実現しています。
遮音性の高さや耳に優しい音作りは、RPGや映画鑑賞などの没入感を求めるシーンに適しているものの、FPSのような競技向けゲームでは足音の定位感がやや物足りなく感じることもあります。
また、日本価格が海外より割高である点を考えると、コストパフォーマンスを重視する人にとっては慎重な検討が必要でしょう。
しかし、ゲーミングイヤホンとリスニング用IEMの中間的な位置づけであることを考えれば、長時間の快適性を重視するユーザーには魅力的な選択肢となるはずです。
用途や価格を考慮し、自分に合ったイヤホンを選んでください。
