この記事は2024年に公開された内容です
STORIA(ストーリア)は、もともとコストパフォーマンスに優れたゲーミングマウスパッドの展開で注目を集めた日本国内のブランドです。
そんなSTORIAが新たに市場へ投入したのが、今回レビューする「Mercury 65(マーキュリー65)」です。
このモデルは、約15,000円という比較的手に取りやすい価格でありながら、ラピッドトリガー機能やカスタマイズ可能なソフトウェアを備えた本格的なゲーミングキーボードとして注目されています。
見た目は流行を押さえたオールホワイトの筐体に、半透明のキーキャップと淡いイルミネーションが組み合わさり、非常に“映える”デザインに仕上がっています。
その一方で、内部構造にはコストカットの痕跡も多く見られ、機能性と価格のバランスに工夫が凝らされている印象です。
この記事では、STORIA 「Mercury 65」の外観、打鍵感、カスタマイズ性能、そして実際に使用して感じたメリット・デメリットについて、詳しくレビューしていきます。

STORIA 「Mercury 65」とは?

STORIAのブランド背景
STORIAは、日本国内を拠点とするゲーミングデバイスブランドで、元々は3000円前後という手頃な価格帯のゲーミングマウスパッドで話題を集めました。
高価格帯が主流になりつつあったマウスパッド市場において、性能と価格のバランスが絶妙だったため、コストパフォーマンス重視のゲーマーから高い評価を受けています。
その後、STORIAはゲーミングキーボード分野にも参入し、本格的なラピッドトリガー機能を搭載した「Mercury 65」をリリース。
単なる周辺機器メーカーではなく、「実用性とデザインの両立」を軸としたブランドイメージを確立しつつあります。
「Mercury 65」の基本スペック
項目 | 詳細 |
---|---|
レイアウト | 65%(英語配列) |
キーキャップ | Cherryプロファイル、シルクスクリーン印刷 |
キーキャップ材質 | 半透明PBT(白+水色アクセント、交換用モノクロキーキャップ付属) |
スイッチ | Gateron Dual Rail White(第2世代) |
アクチュエーションポイント | 0.2mm~3.8mm(0.1mm単位で調整可能) |
キーストローク | 最大3.8mm |
ラピッドトリガー機能 | 対応(0.1mm~2.0mmで調整可能) |
ポーリングレート | 最大1000Hz |
接続方式 | USB Type-C(背面左側) |
ビルドクオリティ | プラスチックケース(オールホワイト) |
ソフトウェア対応 | あり(日本語UI、Windows専用) |
カスタマイズ機能 | キーマッピング、ライティング調整、マクロ設定、AP調整、ラピッドトリガー設定 |
サイズ | 約 308mm × 99mm × 39mm |
重量 | 約 638g |
価格帯 | 約15,000円 |
「Mercury 65」は、65%レイアウトの英語配列ゲーミングキーボードです。
テンキーレスよりもさらにコンパクトながら、矢印キーや一部のナビゲーションキーを保持しており、利便性を犠牲にしすぎない設計が特徴です。
特に注目すべきは、低価格帯ながらラピッドトリガーや0.1mm単位のアクチュエーション調整といったハイエンド機能を備えている点です。
価格帯と競合モデルとの比較
「Mercury 65」の価格は、定価でおよそ15,000。
Amazonなどのセール時にはさらに安価になることもあり、実質的には1万円前後で購入できる場合もあります。
この価格帯では、E元素のラピッドトリガー対応モデルやDrunkDeer 「A75」などが競合製品に挙げられます。
これらは中華系ブランドによる高機能モデルが多く、「Mercury 65」も同じく“価格の割に高性能”を売りにした製品群の一角といえるでしょう。
ただし、「Mercury 65」は日本ブランドならではの配慮(例:完全日本語ソフトウェア、見た目の可愛さ、デザイン性の高さ)に強みがあり、他の中華ブランドとの差別化に成功しています。
見た目に惹かれてキーボードを選びたい層や、初めてラピッドトリガー対応モデルを使ってみたいエントリーユーザーにとっては非常に魅力的な選択肢です。
STORIA 「Mercury 65」のデザインと外観の特徴

キーキャップとイルミネーションの美しさ
STORIA 「Mercury 65」の最大の特徴の一つは、ビジュアル面での完成度の高さです。
オールホワイトの筐体に、半透明のキーキャップを組み合わせたデザインは、一般的なゲーミングキーボードの無骨なイメージを払拭し、洗練された雰囲気を醸し出しています。
特に、キーキャップはシルクスクリーン印刷によるフォントデザインが採用されており、視認性が良好です。
ただし、シルクスクリーン印刷は消耗による剥がれのリスクがあるため、長期間の使用に耐えられるかは注意が必要なポイントです。
また、「Mercury 65」はRGBライティングに対応しており、光がキーキャップを透過することで非常に美しい発色を実現しています。
特に暗い環境では、キー全体が幻想的に光るため、ゲーミング環境やデスク周りの演出にも最適です。
さらに、標準のホワイト&ブルーのキーキャップ以外に、モノクロのキーキャップも付属しており、好みに応じて交換できるのも魅力的なポイントです。
配列・レイアウトとユーザビリティ
「Mercury 65」は「65%レイアウト」を採用しており、一般的なフルサイズキーボードと比較してコンパクトな設計となっています。
テンキーレス(TKL)よりもさらに小型化されつつも、矢印キーや一部のナビゲーションキー(Delete、Page Up、Page Downなど)は維持されているため、利便性とコンパクトさのバランスが取れています。
具体的なキー配列のポイント:
- 矢印キーが独立配置:60%キーボードでは矢印キーがFnキーとの組み合わせになりがちですが、「Mercury 65」では独立しているため、ゲームや文章作成時の操作が快適です。
- ファンクションキー(F1〜F12)はFnキーとの併用:Fキーを多用する作業(プログラミングやエクセル作業)には向かないかもしれませんが、ゲーム用途では問題なく使えます。
- ホームポジション周りのアクセス性:右端のキーが詰められているため、慣れるまではタイプミスしやすい可能性があります。
また、日本語配列(JIS配列)ではなく英語配列(US配列)なので、日本語入力時に「半角/全角」キーがない点には注意が必要です。
ただし、ソフトウェアを活用すればキーリマップによって適宜カスタマイズ可能です。
ケース素材とビルドクオリティの評価
「Mercury 65」の筐体は、プラスチック製のシンプルなオールホワイトデザインです。
最近の高価格帯ゲーミングキーボードではアルミ製の高級感ある筐体が主流となっていますが、「Mercury 65」はあえて軽量なプラスチック素材を採用することでコストを抑えています。
ビルドクオリティのポイント:
- 軽量で持ち運びやすい:コンパクトサイズかつプラスチック製のため、持ち運びにも適しています。
- 反響音の影響:内部に吸音材がほぼ入っておらず、打鍵時の反響音がやや気になります。特にケース底面での「カンカン」とした軽い音が響きやすい傾向があります。
- チルトスタンド非搭載:角度調整用のチルトスタンドがないため、高さを変えたい場合は別途パームレストを使用する必要があります。
- 裏面のデザイン:四隅にラバーグリップがあり、デスク上での滑りは少ないですが、裏面の基板が緑色で、安価な基板が使われていることが見て取れます。
総じて、見た目のデザイン性は非常に優れているものの、内部の構造やビルドクオリティに関してはコストカットの影響が感じられる部分もあります。
特に、音や打鍵感にこだわるユーザーにとっては、内部の軽さや反響音が気になる可能性があるでしょう。
STORIA 「Mercury 65」は、デザイン面での完成度が高く、特にイルミネーションの美しさやキーキャップの透過デザインが際立っています。
65%レイアウトによりコンパクトながらも必要なキーは保持されており、ユーザビリティも確保されています。
しかし、筐体素材のプラスチック感や、内部構造のシンプルさが気になる点として挙げられます。
STORIA 「Mercury 65」の打鍵感と音、内部構造の検証

スイッチとスタビライザーの打鍵感
STORIA 「Mercury 65」には「Gateron Dual Rail White 第2世代」のリニアスイッチが搭載されています。
これは最新のゲーミング用途に向けてチューニングされた軽量スイッチで、アクチュエーションポイントは最短0.2mm、キーストロークは最大3.8mmとされています(ソフトウェア上では0.1mm設定も可能)。
このスイッチは、初代に比べてステムの揺れが抑えられており、より安定した押し心地と滑らかな打鍵感が特徴です。
打鍵圧は約30±10gと軽めで、長時間の使用でも疲れにくい設計となっています。
スタビライザーが搭載されたEnterキーやスペースバーの打鍵感は、やや「コトッ」とした軽い音と感触が目立ちますが、価格帯を考えれば十分に許容範囲です。
高級キーボードのような静音性や安定感には及ばないものの、全体的には予想以上にまとまりのある打鍵感といえます。
ケース内部と反響音の傾向
「Mercury 65」の筐体は、コストを抑えるために吸音材(フォーム類など)をほとんど使用していない構造になっています。
そのため、キーを底まで打ち込んだときの「反響音」が比較的目立ちます。
特に中央や下部のキーを打鍵したときに“カンカン”とした軽めの反響音が耳につく傾向があります。
一方で、キーの中央部はケースの厚みがあるため、響きが少し抑えられている印象です。
この反響音は、ガチ勢のユーザーや静音性を求める方には気になるかもしれませんが、日常的なゲーム用途であれば大きな問題にはならないレベルです。
また、ケース内部の基板を覗くと、安価な緑色の基板がむき出しになっており、「見た目では分かりにくいが、実際にはかなりのコストカットが施されている」ことが確認できます。
安価な構造がもたらす影響
「Mercury 65」は一見すると美しいデザインと高機能を備えているように見えますが、実際の構造を確認すると“量産型”の筐体をベースに、コスト重視で設計されていることが明らかになります。
例えば:
- チルトスタンド非搭載:角度調整ができないため、好みに応じてキーボードの高さを変えるには別途アクセサリが必要です。
- 吸音材なし:内部の空洞がそのまま音を響かせ、打鍵音の軽さやチープさが目立つ傾向があります。
- PCB基板が安価:緑色のPCB(プリント基板)は、価格を抑える代わりに信号の安定性や静音性に影響を及ぼす可能性があります。
- ホットスワップ非公式対応?:ホットスワップソケットは搭載されていますが、説明書などでは正式に言及されていないため、交換時には注意が必要です。
これらの点から、「打鍵感・音・構造」においては価格なりの制限があることが分かります。
ただし、これを「デメリット」と見るか「価格に対して十分」と見るかは、ユーザーの期待値次第です。
見た目やソフトウェア機能を重視するユーザーにとっては、十分満足のいくレベルとも言えるでしょう。
STORIA 「Mercury 65」は、見た目の美しさに反して内部は非常にシンプルかつコスト重視な設計です。
打鍵感は軽めで滑らか、スイッチの性能は価格帯以上の実力を感じさせますが、音の反響やケース構造においてはコストカットの影響が見られます。
こだわる人にとっては物足りなさがある一方で、「エントリーモデルとしての導入機」としては完成度の高い製品です。
STORIA 「Mercury 65」のソフトウェアとカスタマイズ性能

キーマッピングとレイアウト調整機能
STORIA 「Mercury 65」の魅力のひとつが、純正ソフトウェアによる高いカスタマイズ性です。
ソフトはインストール直後から日本語で使用可能で、UIも直感的に分かりやすく、初心者でも安心して操作できます。
「キーカスタマイズ」タブでは、キー単位で自由にリマッピング(割り当て変更)が可能です。
仮想キーボードが表示され、割り当てたいキーを選んで指定するだけで設定完了。
一般的なキーの変更に加え、以下のような設定もできます。
- メディアキーやマウス操作
- テキスト入力の登録
- アンダーバー、半角/全角、変換キーの再配置
右Altキーをアンダーバーに変更したり、Fnキーとの組み合わせで使いづらい操作を改善するなど、自分仕様のレイアウトを構築することができます。
ラピッドトリガー設定とAP調整
「Mercury 65」の真骨頂はここ、「トリガー設定」にあります。
アクチュエーションポイント(AP)とリリースポイント(ラピッドトリガー)を、0.1mm単位で個別キーごとに調整可能です。
設定手順は以下の通り:
- 対象キーを選択(複数選択も可)
- 赤い丸を上下にドラッグし、APまたはラピッドトリガーを調整
- APは最短0.2mm(実際は0.1mmも選択可能)、最長3.8mm
- ラピッドトリガーは0.1mm〜2.0mmで調整可能
特にWASDキーやShift、Ctrl、スペースバーなどゲーム操作で多用するキーのみを最短距離に設定することで、細かく自分のプレイスタイルに最適化できます。
さらに、設定後は「手動キャリブレーション」モードを用いて、指定したキーだけをキャリブレーションすることも可能。
すべてのキーを一括キャリブレーションするモードも用意されています。
初心者でも理解しやすいUIで、ラピッドトリガーの概念が掴みやすく、「エントリー機でありながらも本格的な調整ができる」という点が高く評価されています。
ライティングやマクロの柔軟性
「ライティング」タブでは、RGBの光り方を細かく調整できます。
例えば:
- 波打つようなエフェクト
- 一定のキーを押したときだけ点灯
- 単色固定・レインボー・呼吸点灯など、多彩なエフェクト
このモデルは特に光の拡散が美しい半透明キーキャップを活かしたイルミネーションが強みであり、ユーザー好みのライティングを設定することで、見た目の満足感がさらに高まります。
また、「マクロ」タブではキーの動作に複数のアクションを記録・割り当て可能です。
ゲームプレイ中の複雑なコマンドや、作業時の繰り返し動作などもマクロ化でき、ゲーマーだけでなく一般用途でも活用可能です。
さらに上級者向けには「アドバンス」設定も用意されており、D.K.S(Dual Key Stroke)、MT(Multi Tap)、Toggleなどの複雑なバインド機能も実装。
多くのゲーミングキーボードに匹敵する、幅広いカスタマイズ性を誇ります。
STORIA 「Mercury 65」は、1万円台前半の価格帯ながら、専用ソフトウェアによって高い自由度のカスタマイズが可能なことが大きな魅力です。
キーマッピング、ライティング、マクロ、そしてラピッドトリガーとAP設定に至るまで、上位機種に匹敵する調整項目が揃っています。
特に、初めてラピッドトリガー機能を試したい人にとっては、非常に親切で直感的な設計です。
STORIA 「Mercury 65」を使用した私の体験談・レビュー

開封から第一印象 – デザインの良さに驚かされる
STORIA 「Mercury 65」を開封した瞬間、まず驚かされたのはそのデザインの良さでした。
オールホワイトの筐体に、半透明のキーキャップが組み合わさった見た目は、シンプルでありながらもゲーミングキーボードとしての華やかさを持っています。
特に、RGBライティングを点灯させたときの美しさは圧巻でした。
光がキーキャップを透過し、淡く発光する様子はとても魅力的で、一般的なゲーミングキーボードのギラギラした派手さとは一線を画しています。
また、付属のキーキャップが白×水色の差し色が入ったデザインだったのですが、交換用のモノクロキーキャップも同梱されているのがポイント。
シンプルなホワイト&ブラックデザインにカスタムできるため、「かわいいデザインが苦手な人でも満足できる」と感じました。
実際に使ってみて感じたこと
(1) ゲームプレイでの使用感 – ラピッドトリガーが快適
「Mercury 65」を試すにあたって、まずFPSゲーム「Valorant」で使用してみました。
デフォルト設定ではアクチュエーションポイントが1.9mmとやや深めでしたが、0.1mm単位で調整可能なため、最短の0.2mmに設定。
さらに、ラピッドトリガーを0.1mmにして、WASDキーのみ最速設定にしてみました。
実際にプレイすると、キーの押し戻りが速く、キャラクターのストッピング精度が格段に向上しました。
ラピッドトリガーの恩恵を特に感じたのは、左右の移動を細かく調整する場面や、銃を撃ちながらの微調整を行うシーン。
例えば、「Aキーを押して移動→すぐに離す」という動作が、通常のメカニカルキーボードよりもはるかに素早く処理されるため、キャラの動きが正確に制御できるのを実感しました。
また、Shiftキーのアクチュエーションポイントも短く設定したことで、「しゃがみ撃ち」の入力がスムーズになり、より素早く射撃体勢を整えることができました。
(2) タイピング用途での使い心地 – 軽快な打鍵感だが、反響音は気になる
「Mercury 65」は、ゲーム用途だけでなくタイピングでも試してみました。
Gateron Dual Rail White 第2世代スイッチは、非常に滑らかで指がスムーズに沈み込むリニア感があり、タイピングのストレスは少なめ。
キーが軽いので、長時間の使用でも指が疲れにくいのはメリットだと感じました。
ただし、気になったのが反響音の大きさです。
内部に吸音材がないため、キーを底打ちしたときに「カンカン」という軽めの音が響くのが少し気になりました。
特に、スペースバーやEnterキーの音は「コトッ」とした軽めの音が目立ちます。
仕事や文章執筆用途での使用を考える場合は、静音リングを装着したり、底打ちを避けるようにタイピングする工夫が必要かもしれません。
コストパフォーマンスと総合評価
(1) 価格に対する性能 – 予想以上に優秀
「Mercury 65」の価格は、約15,000円と、ゲーミングキーボードの中ではエントリー〜ミドルレンジの価格帯に属します。
ただし、実際に使用してみると、この価格でラピッドトリガー機能やAP調整機能を搭載しているのは非常に優秀だと感じました。
他の競合製品と比較しても、「見た目のデザイン」「ソフトウェアの分かりやすさ」「ラピッドトリガーの精度」の点で優位性があります。
一方で、「内部構造の安っぽさ」「吸音材なしによる反響音の大きさ」「チルトスタンドなし」といったコストカットの影響が感じられる部分もあります。
(2) どんな人におすすめ?
おすすめできる人
- 初めてラピッドトリガーを試したい人 → 価格が手頃で、高性能なAP調整・ラピッドトリガー機能を試せる
- デザイン性を重視する人 → イルミネーションの美しさとオールホワイトの見た目は◎
- 軽めの打鍵感が好きな人 → Gateron Dual Rail Whiteのスイッチは滑らかで軽め
- ゲーム用途で使いたい人 → FPSやTPSの操作が劇的に快適になる
おすすめできない人
- 静音性を重視する人 → 反響音が目立つため、静かな環境には不向き
- ビルドクオリティを求める人 → 内部の基板や構造は価格相応
- チルトスタンドが必須な人 → 角度調整ができないため、手首の負担が気になる場合はパームレストが必要
STORIA 「Mercury 65」を実際に使用してみて、特にラピッドトリガーの恩恵を強く感じたのが印象的でした。
デザインの美しさも相まって、「ゲーミングキーボードでありながらも、おしゃれなデスク環境を演出できるモデル」と言えるでしょう。
ただし、内部構造のコストカット部分(吸音材なし、反響音の大きさ)には注意が必要です。
とはいえ、この価格帯でこれだけの機能を詰め込んでいることを考えると、コストパフォーマンスは非常に優秀。
特に「ラピッドトリガーを試してみたいが、2万円以上は出せない」というエントリーユーザーには最適な選択肢だと感じました。
STORIA 「Mercury 65」 に関するQ&A

STORIA 「Mercury 65」 に関して、よく聞かれそうな質問とその回答をまとめました。
「Mercury 65」はどのような人に向いていますか?
「Mercury 65」は、ラピッドトリガー機能を試してみたいエントリーユーザーや、デザイン性の高いゲーミングキーボードを求める人に最適です。FPS・TPSゲームをプレイする人や、コンパクトでおしゃれなデスク環境を作りたい人にもおすすめです。
「Mercury 65」は日本語配列(JIS)ではなく英語配列(US)ですが、使いにくくないですか?
英語配列(US)なので、日本語入力の「半角/全角」キーがない点には注意が必要です。しかし、ソフトウェアでキーリマップが可能なので、慣れてしまえば特に問題なく使えます。英語配列を普段から使っている人には違和感がありません。
「Mercury 65」のラピッドトリガーはどのくらい効果がありますか?
ラピッドトリガーを最短0.1mmに設定すると、キーの押し戻りが非常に速くなるため、FPSゲームなどでの移動ストッピングや連続入力が大幅に向上します。特にValorantやApex Legendsなどの競技系FPSでは効果を体感しやすいです。
ラピッドトリガーとアクチュエーションポイントの調整はどのように行いますか?
専用ソフトウェアを使用し、キーごとに個別調整が可能です。
設定手順:
- ソフトウェアを開き「トリガー設定」を選択。
- 設定したいキーを選択(WASDなど)
- アクチュエーションポイント(AP)を0.2mm〜3.8mmの間で調整
- ラピッドトリガーを0.1mm〜2.0mmの範囲で調整
- 設定後、「キャリブレーション」モードで調整を完了
この設定を行うことで、反応速度を自分好みにカスタマイズできます。
「Mercury 65」の打鍵感はどのような感じですか?
搭載されているGateron Dual Rail White(第2世代)は、リニアスイッチ特有の滑らかで軽めの打鍵感です。作動圧30±10gと軽めなので、長時間のタイピングでも指が疲れにくい仕様です。ただし、吸音材が入っていないため、底打ち時の「カンカン」という反響音が目立つことがあります。静音性を求める場合は、Oリング(静音リング)を装着すると改善できます。
「Mercury 65」はホットスワップ対応ですか?
公式には明記されていませんが、スイッチ交換は可能です。Gateron Dual Rail White(第2世代)が標準搭載されていますが、ユーザーがスイッチを交換できるホットスワップ構造になっています。ただし、耐久性などの保証はないため、スイッチ交換時は慎重に行う必要があります。
ソフトウェアのインストール方法と設定は難しいですか?
ソフトウェアは日本語対応しており、直感的に操作しやすいため、初心者でも簡単に設定できます。
- STORIA公式サイトからソフトウェアをダウンロード
- インストール後、キーマッピング・ライティング・ラピッドトリガー設定が可能
- 設定後に「適用」ボタンを押せば完了
「Mercury 65」のライティングはどの程度カスタマイズできますか?
RGBライティングのエフェクトが豊富で、以下のような調整が可能です。
- 単色固定(好きな色で点灯)
- ウェーブエフェクト(光が流れるようなアニメーション)
- キー入力時の発光(押したキーだけ光る)
- レインボーグラデーション(全体がグラデーションで変化)
半透明のキーキャップを通して光が拡散するため、見た目の美しさも魅力の一つです。
「Mercury 65」はMacでも使えますか?
キーボード自体はMacで使用可能ですが、ソフトウェアがWindows専用のため、キーリマップやラピッドトリガー設定はWindowsでしか調整できません。Macで使用する場合は、Windowsで事前に設定してから使うか、Mac側のキーリマップツール(Karabiner-Elementsなど)を活用するのがおすすめです。
価格とコストパフォーマンスはどうですか?
約15,000円の価格帯で、ラピッドトリガー機能を搭載しているのは非常にコスパが良いです。この価格帯で競合するモデルには、DrunkDeer 「A75」などがありますが、「Mercury 65」はデザイン性・ソフトウェアの使いやすさ・カスタマイズ性のバランスが良いため、エントリーユーザーにとっては特におすすめの選択肢です。
静音性を高める方法はありますか?
反響音が気になる場合は、以下の対策を試すと静音性が向上します。
- Oリング(静音リング)を装着 → キーストロークを短くし、底打ち時の音を抑える
- フォーム(吸音材)を内部に追加 → ケース内にフォームを敷くと反響音が軽減される
- 静音スイッチに交換 → Gateron Silent RedやSilent Brownなどの静音スイッチに変更
チルトスタンドがないのは不便ですか?
角度調整ができないため、長時間の使用では手首に負担がかかる可能性があります。もし気になる場合は、パームレスト(リストレスト)を使用するのがおすすめです。高さが6°のため、手首の位置を少し調整するだけで快適に使用できます。
STORIA 「Mercury 65」レビューのまとめ

STORIA 「Mercury 65」は、ゲーミング性能・デザイン性・価格のバランスに優れたラピッドトリガー対応キーボードです。
この記事を通じて、デザインの美しさ、ラピッドトリガー機能の効果、そしてコストカットの影響によるメリット・デメリットについて詳しく解説してきました。
最終的に、このキーボードはどのような人に適しているのか?また、どのような点に注意すべきなのか?を整理しながら、総合的な評価をしていきます。
STORIA 「Mercury 65」の総評
◎ 良かった点
✅ デザイン性の高さ:オールホワイトの筐体に半透明キーキャップを採用し、RGBライティングが映えるデザイン。ゲーミングキーボードらしからぬ美しさ。
✅ コストパフォーマンスの良さ:1.5万円前後という価格でラピッドトリガーやAP調整が使えるのは魅力的。
✅ ラピッドトリガーの効果:FPS・TPSでの操作性が大きく向上し、ストッピング精度や入力の速さが劇的に改善。
✅ 専用ソフトウェアの使いやすさ:完全日本語対応のUIで、AP調整やキーリマップ、ライティング設定が簡単にできる。
✅ キーキャップの交換が可能:標準の水色アクセント付きデザインに加え、モノクロキーキャップも付属。
△ もう一歩の点
⚠ 静音性が低い:内部に吸音材がないため、底打ち時の「カンカン」という反響音が目立つ。
⚠ チルトスタンド非搭載:角度調整ができないため、パームレストを使用しないと手首に負担がかかる可能性。
⚠ ビルドクオリティは価格相応:基板が安価な緑色PCBであり、内部構造はシンプル。高級機に比べると剛性感はやや低い。
どんな人におすすめ?
STORIA 「Mercury 65」は、以下のような人におすすめできるキーボードです。
✅ ラピッドトリガーを試してみたい人 → 2万円以上の高級キーボードを買う前に、ラピッドトリガーの効果を体感したい人に最適。
✅ FPSやTPSをプレイするゲーマー → WASDキーを最適化することで、移動・ストッピングがより正確かつ高速に。特にValorantやApex Legendsなどのゲームに向いている。
✅ デスク環境をおしゃれにしたい人 → 白を基調とした美しいデザインが特徴で、ライティングの透過も映える。スタイリッシュなデスク環境を求める人に◎。
✅ カスタマイズ性を重視する人 → キーマッピング、AP調整、ライティング設定、マクロ機能など、上位機に迫る柔軟なカスタマイズが可能。
逆におすすめできない人
一方で、以下のような人にはあまり向かないかもしれません。
❌ 静音性を重視する人 → 反響音が目立つため、静かな環境で使いたい人には不向き。消音リングなどの追加対策が必要。
❌ チルトスタンドが必須な人 → 角度調整ができないため、快適な姿勢でタイピングするにはパームレストが必要。
❌ 高級感のあるキーボードを求める人 → プラスチック製のケース&安価な基板を採用しているため、プレミアムな質感はない。
競合モデルとの比較
最後に、同価格帯の競合モデルと比較した場合の立ち位置を整理してみます。
機種名 | 価格 | ラピッドトリガー | デザイン | 打鍵感 | 静音性 | ソフトウェア |
---|---|---|---|---|---|---|
STORIA Mercury 65 | 約15,000円 | ◎(個別設定可) | ◎(オールホワイト+RGB) | ◯(軽め) | △(反響音あり) | ◎(日本語対応・直感的) |
DrunkDeer A75 | 約18,000円 | ◎(高度な設定可) | △(普通の黒いゲーミングデザイン) | ◎(安定感あり) | ◯(比較的静か) | △(一部英語表記) |
Wooting 60HE | 約30,000円 | ◎(最強クラス) | △(普通のゲーミングデザイン) | ◎(プロ向け) | ◯(静音設計) | ◎(プロ仕様) |
→ STORIA 「Mercury 65」は「エントリー向けのラピッドトリガーキーボード」としては最良の選択肢といえます。
STORIA 「Mercury 65」レビューの総括
STORIA 「Mercury 65」は、エントリークラスながらラピッドトリガー機能やアクチュエーションポイントの細かい調整が可能な、非常にコストパフォーマンスに優れたゲーミングキーボードです。
見た目の美しさやカスタマイズ性の高さが魅力であり、特に初めてラピッドトリガーを試してみたいユーザーや、デスク環境をおしゃれに演出したい人に最適な選択肢となるでしょう。
反面、吸音材がないことによる反響音の大きさや、チルトスタンド非搭載といったコストカットの影響も見られるため、静音性やビルドクオリティを重視するユーザーにはやや物足りないかもしれません。
それでも、この価格帯で得られるゲーミング性能とデザイン性を考慮すれば、十分に満足度の高い製品といえるでしょう。
おしゃれなデザインと高いカスタマイズ性を兼ね備えたSTORIA 「Mercury 65」は、ゲーミングキーボードの新たな選択肢として、確かな存在感を示しています。
自分に合った設定を見つけ、より快適なゲームプレイや作業環境を手に入れてみてはいかがでしょうか。

・Razer 「Huntsman V3 Pro TKL」徹底レビュー!FPS最強キーボードの性能と使用感を解説
・「Wooting 80HE」レビュー|最強格のラピッドトリガー搭載キーボードを徹底解説!
・ELECOM GAMING 「VK720A」徹底レビュー|静音×ラピッドトリガー搭載の高性能ゲーミングキーボード
・LUMINKEY 「Magger 68 HE Performance」の実力は?ラピッドトリガー&0.02mm調整対応キーボードの使用感を徹底レビュー!
・Endgame Gear 「KB65HE」レビュー!ラピッドトリガー搭載の高性能ゲーミングキーボードを徹底解説
・Lamzu 「Atlantis Pro Keyboard」レビュー|ラピッドトリガー搭載の高性能ゲーミングキーボード
・DrunkDeer 「A75」 レビュー|ラピッドトリガー搭載でFPS最強?コスパ最強のゲーミングキーボードを徹底解説!
・東プレ「REALFORCE GX1」レビュー|ラピッドトリガー搭載でFPSに最適なゲーミングキーボード
・CORSAIR 「K70 MAX」を徹底レビュー!ラピッドトリガー&8000Hzの実力を検証
・Keychron 「Q1 HE」の評価は?磁気式スイッチ&カスタマイズ性抜群の75%キーボードを徹底レビュー
・ゲーミングキーボードと普通のキーボードの違いとは?後悔しない選び方を詳しく解説!